ID :
4085
公開日 :
2007年
6月14日
タイトル
[古木「落羽松」いきなりばっさり 住民がっかり
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新聞名
日本海新聞
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元URL.
http://www.nnn.co.jp/news/070614/20070614002.html
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元urltop:
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写真:
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鳥取県米子市大篠津町の大篠津小学校にある樹齢九十年を超える古木「落羽松」(樹高約十七メートル)が伐採され、元の姿の約三分の一になった。毛虫被害への対応のためだが、地元との十分な協議がな
かったことに不信感を抱いた卒業生の地域住民は、堂々たる落羽松の面影がなくなったことを嘆いている
上部3分の2ほどが伐採された落羽松。以前の面影はない
落羽松は、北アメリカ原産で葉が松葉のような線形で羽のようについているのが特徴。地元の卒業生によると、一九一八年、同小が現在地に移転されたときに旧校地から移植されたもので、〇七年、大正天皇が皇太子
時代に山陰行啓された折に植えられたお手植えの木ではないかという
しかし、近年は毛虫が発生。特に二〇〇三年と〇六年は校舎内や周辺住宅の中まで毛虫が入り込むなどしていたという。同小は消毒で被害を抑えていたが、度重なる消毒による児童への身体的悪影響を懸念。安全性
や消毒の費用、周辺への影響を考えた末、三月に業者が伐採した
元大篠津町連合自治会長の本池春夫さん(82)は、「卒業生や住民にとって、目印になったり郷愁を感じる木なのに」と嘆く。シンボルとして地域住民の心に刻まれている落羽松だが、一方で、名前や由来を示す看板など
もなく落羽松に対する関心は薄くなっていたとの声もある
同小では学校関係者の了承を得て伐採に臨んだが、業者との行き違いで当初の予定以上に切られ、落羽松は現在、約六メートル残っている程度。同小の清掃奉仕活動などを行う同町の老人クラブ「ときわ会」の安田明
会長(78)は「落羽松が切られた後に毛虫の被害についても知った。後の祭りだが、情報を流してもらえたら毛虫対策や伐採の是非などについても考えることができたのに」と悔やむ
卒業生有志の抗議を受け、同小は四月に現地で住民らを交えて慰霊祭を行った。吉岡理一校長は「今回のことで地域住民に学校不信の感情を持たれては困る。払拭(ふっしょく)するためにも、日ごろの教育を充実させ
ていきたい」と話す
卒業生有志らは「市内には記念樹や歴史ある古木がたくさんあるので、今後このようなことがないようにしてほしい」と望み、残った落羽松の成長に期待しながら切られた木の活用を考えている。