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ID :  3952
公開日 :  2007年  5月30日
タイトル
[よみがえる古民家 滋賀長浜・伏木邸
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.janjan.jp/living/0705/0705286296/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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 古い農村住宅(古民家)の再生が注目されはじめて随分時間が経つように思う。その利用は公的機関やNPOの事務所などによく見かけるが、個人の取り組み例はまだまだ少ないようだ  「家は新築するもの」というイメージが強いからだろうか。神社仏閣の復元はあっても家にはその感覚はないのかもしれない。何より、古いモノの価値がわかりにくいという側面もあろう。そして、肝心の値段だが、再生の 内容にもよるが新築とあまり変わらないともいう。施主が迷うのも当然だろうか  しかし、良き相談者や専門家に出会えれば不安は解消され新しい夢を見ることができる。 ここに紹介するのは滋賀県長浜市東主計の伏木邸。築100年以上というヨシ葺き屋根の古民家である  伏木さんをサポートしたのは滋賀県の「湖北古民家再生ネットワーク」(※)。同ネットワークとの出会いで決意を固め、結果「100%満足」というこだわりの家を手に入れた。丸々1年かかって家が完成。見学会に参加を した。初日の見学者は約300人で、その様子は地元放送、新聞社にも取り上げられて大反響を呼び、2回目の見学会も行われた。伏木邸は、滋賀県の湖北地方に多い欅造りの重厚な家である。面積は50.11坪、間取り は古い農家の典型の一つ「田の字型」。天井には太い梁が交差し、2階の屋根裏は合掌造り。太い丸太(松材)の叉首がひときわ目立つ。昔の職人の技術に触れられるこの空間が「とりわけ好き」という伏木さん。「残したい 空間」でもあった  ただし、管理が大変な「ヨシ葺き屋根は何とかしたい」。伏木邸の工事のポイントは二つ。基礎の修正と屋根の再生だ。基礎は家の傾きがひどく、足固めの新設を行っている。建築家によると日本の古民家の弱点は基礎 だという。漬物石に似た石の上に柱をのせる工法だが、これさえ頑丈に改めれば日本の木造建築の多くには、まだまだ住めるそうだ  屋根は厚さ1mのヨシ撤去から始まり、煤竹の整理とともに大変な作業が続いたという。ヨシを降ろしたあとはその空間を杉材でふくらましイメージを引き継いでいる。天窓をつけ採光も新設した。他に、左官工事で壁に 漆喰を塗り梁を浮き立たせている。水廻りは全て改修。存分に光を入れ、古民家のうす暗いイメージを一掃した。  一方で、民家再生など贅沢という声もある。お金持ちや芸術家がすることだと。しかし、今回の再生で伏木邸は寿命を百年延ばした。伏木さんが選んだのは「家も住むものも共に生きる」というひとつの解決策。日本人 が捨ててきた大切なモノを表舞台に出しただけともいえる。何にしても価値感次第だ。