菊池さんは北上市出身。矢巾町の県立産業技術短期大学校建築科を卒業後、大船渡職業能力開発センターで学び、二級建築大工技能士と二級建築士の資格を持つ。昨年は技能五輪全国大会の県代表42人の一人 に選ばれた。
昨春から父親昭俊さん(46)の経営する北上市の工務所で働いていたが「大工の先輩として訓練生と切磋琢磨(せっさたくま)しながら腕を磨きたい」と久慈職業能力開発センターの講師に応募した。
受け持ちは、15歳から年上の27歳まで男性訓練生5人が在籍する建築科。週30時間、測量や製図、工作、施工実習など学科、実技双方を担当している。
初めて「教壇」に立って1カ月。「不思議と戸惑いはない。スラッと入っていけた」と振り返る。身長147センチと小柄ながら「男性にも負けない」と自負するかんな掛けの速さなど「職人のコツ」を伝えようと懸命だ
「自分も初めはできなかったので、できない人の気持ちはよく分かる」という親身な指導は訓練生にも好評。大工を目指す粒来誠君(15)は「とても優しくて分かりやすい。のみ研ぎもさすがだった」と、その腕前に目 を見張る。
中学生当時から、建築関係の仕事を志望していた菊池さん。講師を務める一方、現役大工としても成長を止めるつもりはない。「体は小さくて力はない。けれど、女性ならではの感性を生かした仕事ができるはず」 今年は一級建築大工技能士の試験に挑戦、将来は「大工と結婚して、伝統工法のマイホームを一緒に建てたい」と夢を描く