商標の図形は、森林と住宅のイメージを組み合わせ、中崎組合長が考案した。「葛巻町産材」を売りに首都圏で実績を伸ばす藤島建設(本社埼玉県川口市)などを先導役に、商標を住宅建築、販売の段階でも活用し てもらう。
2006年4月に制定された地域団体商標制度で、特産食品などを文字登録してブランド化を目指す動きは広まっているが、今回は図形と組み合わせる通常の商標登録を選んだ。県林業振興課などによると、木材 の商標登録は珍しいという。
カラマツはねじれが生じやすいことなどから建材として評価されてこなかったが、阪神淡路大震災以降、「耐震」がキーワードとなる中で、群を抜く強度が注目され、集成材に加工する技術も改良が進む。
同町は面積の86%が森林で、このうち約2割の7800ヘクタールが人工カラマツ林。同組合はここ5年で、伐採した素材を近隣6市町の業者がラミナーと呼ばれる板にし、町内の高吟製材所(高橋宏寿社長)で集成 材に加工して出荷するルートの整備を進めてきた。
06年のカラマツ出荷は6240立方メートル、出荷額は約5000万円。関係業者には、適切な管理を保証する国際基準の認証取得が拡大しており、同組合は国際認証と「くずまき高原」の2つのシールが並ぶことも大 きなPRポイントととらえる。
高橋社長は「牛乳や風力発電を通じて葛巻町自体がブランドとして確立されつつあり、そこで採れた木を売り出すために商標は有効と考える」と期待を込める。
同組合の竹川高行参事は「木にこだわりを持ち、葛巻の取り組みを理解してくれる人はたくさんいるはずだ。他産地と差別化を図るために顔が見える木材を消費者に届けていきたい」と意気込む。
商標 事業者が自己の取り扱う商品を他人の商品と識別するために、商品について使用する文字、図形、記号などの標識。特許庁に出願し登録され、商品やその包装に付したりして使用する。商標権を得 ることで、業務上の信用を維持でき、他人による類似範囲の使用を排除できるなどの効果がある。