.
.
元URL.
.
.
.
世界同時株安と円キャリートレードの反対取引による急激な円高は気になるが、最近の米国出張で強く感じたのは米住宅市場の不安である。
まず、住宅関連の数字を見ると、新築住宅の在庫についてはここへ来てやや減少し始め、売り上げ対比で約5カ月となっている。住宅抵当借り入れも前月比マイナスが続いているが、直近ではややマイナス幅が縮小し
、改善が見られる。しかし、1月の新規住宅販売は前年同月比でマイナス16・6%と94年以来の下落となり、住宅着工戸数も昨年初めに年率220万戸を超えていたものが1月には140万戸に減少している。住宅市場は
全体としていまだ弱さが目立つ状況だ。
更に、まだ大きな問題に発展していないが、住宅市場でのサブプライムローン(信用力の弱い人々に対するローン)の返済状況に懸念が生じているのだ。このローンが全米住宅抵当ローンに占める割合は約20%と
言われており、これは決して小さくはない数字だ。サブプライムローンは3~4%のハイリターンで、加えてこのローンの証券化やそれらの販売による収益も別に見込めるため、貸手側には全体として高収益商品と言え
よう。
従って、直近では米投資銀行大手がこのローンの貸手金融会社を次々に買収してきているのだ。投資銀行関連が保有するこのローンの残高は不明だが、おそらく相当な額と推定される。その証拠にこれらローンに対
する懸念が出始めたと同時に、米投資銀行発行債券のリスクプレミアムが相当拡大している。また、このローンの危険度が増してきていると見られ始め、ローンの保証料も増大しているようだ。
いまだ米投資銀行の収益不安は見られないが、一度、住宅金融市場に火がつけば、米国内金融システムに深刻な影響が出るだろう。米国発の金融システム不安を起こさなければよいが、と念ずるのみである。++/div+
+