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木造建築のネツト記事
ID :  2882
公開日 :  2007年  2月26日
タイトル
[家具を買う季節のよしあし
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/housing/diary/TKY200702260145.html
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元urltop:
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写真:
 
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和家具の机も見て歩いたが、パソコン、プリンター、電話、ファクス以外に資料も広げるので、どうしてもスペースが足りない。こればかりは、見てくれやデザインを言ってられず、広さを最優先した。結果、L 字形の縦1メートル、横2メートルはありそうなガラスの机を購入。子どもたちは「社長さんの机みたい」と評する。まあ、そんなフォルムのしろものである。  半年間、問題なく使ってきたが、冬を越して初めて後悔した。ガラスは冷たい。一日中キーボードをたたいているので、とくにこたえるのだが、ガラスに当たるひじから手首が冷えてしょうがない。そういえば買ったのは 夏だった、と今頃気づいた。広さばかりに目がいっていたが、肌ざわりや体感温度をシミュレーションすべきだった。  苦肉の策で、現在はキーボードの下にランチョンクロスを敷いている。紙に書き物をするときは、その布をとるという、まことにめんどうなスタイルだ。机が広すぎて、ラバーマットではとても足りない。で、半端な大き さの布で当座をしのぐはめになっている。前の家の仕事場は、1枚板のつくりつけで、肌あたりが冷たいと思ったことは一度もなかった。木はいいなあと、あらためて実感する。  オフィスカタログなどで、ガラスで統一されたモダンなインテリアをみるたびに、「冬は冷たいよ~」と誌面に向かって叫びたくなる。そして、ふと気づくのだ。ビルの中はエアコンがきいているから、テクスチャーは関係 ないのだ、と。  私はたまたま木造の古家に越して、引き戸のすき間から、ガラス戸越しから、家の中にいても、四季の移ろいを良くも悪くもダイレクトに感じる環境にいる。だから、ガラスの机はこたえる。これがマンションだったら、平 気だったかもしれない。  やたらに木がいい、すばらしいと狂信的にもちあげるつもりはない。そりもすれば、傷も付く。  ただ、先人は、四季のあるこの国の、風土に合う家具を脈々と作り続けてきた。その主たる素材がこの地に生まれ育った木々なのである。桐(キリ)、楢(ナラ)、栗、楓(カエデ)。本当に日本は多彩な樹種がある。それ ぞれの特性を生かす技術もまた、連綿と受け継がれている。素材と技術の結晶である和家具が、使いづらいはずがないのだ。もうひとふんばり、妥協せずに広い木の机を探すべきだったと思うが、後の祭りである。いらな くなっても木のように地球に還元できないので、末永く大事にするとしよう