ID :
2573
公開日 :
2007年
1月25日
タイトル
[<立松和平>第4回 伊勢神宮の式年遷宮も危機
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新聞名
http://waga.nikkei.co.jp/enjoy/book.aspx?I=20070117e1003e1
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元urltop:
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写真:
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作家の立松和平さんが『日本の歴史を作った森』(ちくまプリマー新書)を出版した。「法隆寺など日本の伝統的建築物の材木である大木が日本国内で消滅寸前」と指摘する立松さんに、日本の森のあるべき
姿を聞いた
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伊勢神宮で20年ごとに行われる式年遷宮という儀式があります。これは、稲作の「蘇り」思想に根ざしています。稲作は毎年種をまいて、1粒のモミから700倍、800倍のコメができる。天皇制はその稲作文化に基づいた制
度で、天皇は稲作をする人たちの棟梁です。だから今でも新嘗祭や神嘗祭をやってるわけです
伊勢神宮は、そういう日本文化をタイムカプセルのように残してきたところであって、この遷宮という儀式は1300年前から続いているわけですよ。20年に一度、完全なコピーを作っていく、という蘇りの思想です
20年のペースというのは当時の奈良時代の平均寿命が30代後半だったから、20年周期で技術を伝承して後世に伝えていく、という意味もありました。1798年から伊勢神宮の裏山の御杣山の木を使っていたのですが、
すでになくなって今は木曾のヒノキを今使っています。2013年に次の遷宮となる62回式年遷宮が控えていまして、65回目の遷宮から木曾の木もなくなってしまいます
御杣山では1935年から造林を始めて、あと180年経てば木材を供給できるようですが、それでも100年余り空白の時期があります。100年は遷宮5回分。これをどう乗り切るのか、相当大きな問題ですね。どこかにある
といいのですが
法隆寺もそうです。法隆寺の管長さんに言わせると、1300年はもったけど、その先は誰もわからない。明日にでも駄目になる可能性はあって、その時に修復で使える木材がない。少なくとも直径1メートル以上の大径木
がなければ何もできない。