中学卒業後、住宅建築を手掛け、1973年に宮大工の第一人者西岡常一さん(故人、奈良市)に師事。
棟梁(とうりょう)として国指定重要文化財の東京・池上本門寺五重塔の解体修理、福泉寺五重塔(遠野市)、毛越寺本堂(平泉町)など、史跡や重要文化財の新築、復元修理で長年、宮大工として培った知識と技能を 発揮する。
90年に社寺工舎を立ち上げ、弟子8人を含む約20人の職人に伝統の技を惜しみなく伝授。現在、仙台市の国分尼寺などの現場に携わり、2、3年先まで仕事で埋まる。晴れの栄誉に「社寺建築は自分1人ではでき ない。師匠や、仲間の力があったからこそ」と感謝。
「自分が受け継いだものを次世代に受け継がせるためにも、弟子たちにいい仕事を与えていきたい」と誓う。
【写真=棟梁として手掛けた福泉寺五重塔を背景に「若い人たちにいい仕事をさせるのが自分の仕事」と語る菊池恭二さん】
防水工 荒川さん(滝沢)
現在の建築に必要不可欠となっているシーリング防水技術を本県にいち早く導入し、技術の発展と普及に努めてきた。
シーリング防水は、建物の外壁などのすき間をシーリング材という素材でふさぐ技術。風雨を防ぐ役割のほか、工場の気密性保持など用途は広い。
大阪のシーリング材製造会社に就職。施工技術に触れる中で「岩手に持ち帰れば面白い」と、1973年に滝沢村で有限会社コーク・シールを設立した。
当時、本県で同技術は知られておらず「技術の習得や浸透には辛抱強さが求められたが、良い技術は必ず選ばれると確信していた」と振り返る。
シーリング施工1級技能士の資格を持ち、後進の指導にも当たる。「目立たないが建物を支える大切な技術。広く認めてもらえるよう、頑張りたい」と力を込める。
【写真=シーリング防水の施工例を説明する荒川知美さん。「これからも技術の用途は広がっていく」と語る】