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ID :  2073
公開日 :  2006年  11月14日
タイトル
[擬木を使った試作品を手にする門倉建造社長=神戸市中央区海岸通5、門倉貿易
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/migake/119.html
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元urltop:
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写真:
 
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神戸・旧居留地の本社で、社長の門倉建造(56)が灰色の板を手に現れた。「これ、何でできていると思いますか」  表面はプラスチックのようにつるっとしており、軽くたたくと、コンコンと音がする。合板のようだ。  「実は、古着から作った『擬(ぎ)木(ぼく)』です。くぎも打てるんですよ」。確かに、繊維をぎゅっと押し固めたような模様が浮かんでいる。しかし、布からできたと思えない固さで、切断にはのこぎりを使う。  門倉は、約五年かけて木材の代替品となる擬木の量産化にめどをつけた。来年十二月には自社工場で本格的な生産を始める。輸送品をこん包する木枠や住宅のフローリング材として売りこむ計画だ。  創業は一九五〇年。古着や繊維くずの輸出をはじめ、機械の汚れをふき取る「ウエス」として古着を再利用する事業を柱としている。  だが近年は逆風が強まるばかり。発展途上国の得意先が、古着を自国で調達し始めた上、工場の海外移転で日本国内のウエス需要も激減。「このままでは立ち行かなくなる」との危機感から、門倉は新事業を模索して いた。  そんな中、合成繊維などのリサイクル技術を専門とする京都工芸繊維大学大学院の木村照夫教授と出会い、大手がやっていない擬木の量産に挑戦することになった。  生産方法は一見、シンプルだ。古着を裁断して混ぜ、加熱して圧縮し、冷ます。ポリエステルなどの合成繊維が熱で溶け、接着剤の役割を果たすが、木のような強度と軽さを出すには古着の混ぜ具合や圧縮方法、温度 などの調節が難しい。  試行錯誤の連続だが、長年繊維を扱っている経験が随所で生きた。強度を試すため完成した擬木で枠を作り、三百キロの鉄の塊を入れ神戸港から船でカナダへ運んだ。二週間後、陸揚げされた枠はびくともしていな かったという。  輸送用の木枠は松を使うことが多いが、松くい虫の発生を防ぐため薫蒸処理が必要だ。しかし擬木ならその手間がいらない。木目などの模様入りシートを張る技術も開発しており、建材や家具にも用途が広がりそうだ。  繊維製品のリサイクル率は国内でわずか8%。毎年約二百万トンがごみとして捨てられる。「擬木は森林伐採の抑制にもつながる。競争は激しくなりそうだが、大きな可能性とロマンを感じます」。門倉の口調は明るい データ 現社長の門倉建造氏の父親が、戦後間もない1950年に創業した。資本金は1000万円。小野市とたつの市に工場を持つ。中古車の輸出も手掛けている。2006年5月期の売上高は5億円。擬木の研究開発で、 池田銀行(大阪府池田市)から、本年度の「地域起こし奨励賞」を受けている。