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ID :  15563
公開日 :  2010年 4月 1日
タイトル
[この人:人気の木工作家・今奈美仁さん /青森
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20100307ddlk02070031000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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日曜大工、「工房」に成長--今奈美仁さん(50)  戸棚の中央に輝くクリスタルのトロフィー。「カルロス・ゴーン氏から表彰された」自慢の一つだ。1年半前まで日産サピオ弘前(弘前市)の中古車部門で営業マンだった。ノルマは月に5台だが、車を売るのが好きで最高 12台売ったことも。43歳だった02年には売り上げが全国上位に入り、その時に贈られたのがゴーン氏のトロフィーだ。400人以上の客を抱え、「若い社員にも負けない」自信があった。
 5年前、妻の優子さん(52)が知り合いの木工作家から買ってきた木製のベンチに目が留まった。明るい色のパイン材製、柔らかな曲線で縁取られた背もたれ。欧米の田舎にありそうな雰囲気から「カントリー風」と呼ば れる木工家具で、ほんわかした感じが一目で気に入った。日曜大工が好きで、「これなら自分でもできる」と、息抜きに始めた。最初は居間のストーブを覆う棚に挑戦。細かな設計はせず、作りながらデザインを考えた。
帰宅後や休日を使って約1週間で完成。友人たちに「すごいな」と褒められ、テーブルやミシン台なども次々に手掛けた。
 いつしか「ロンちゃん工房」と名付け、作家仲間で開くイベントで作品の展示販売も始めた。07年夏、手芸キットの部品製作の依頼を受け、通信販売用として多数の客を相手にする初の仕事が舞い込んだ。500個以上 が売れ、営業の仕事をする傍ら、休日返上で製作に追われた。
 「木工を仕事にしてもいいかも」。このころから思いは強くなった。既に48歳。仕事には自信があったが、営業の仕事は若い人の方がいい。同じころ、つがる市木造でトマト作りをしていた兄から手伝いを頼まれた。「い い時期だな」。社長や部長から「やめないでくれ」と引き留められたが、1年後の08年7月、退社した。
 今ではイベントへの参加や「ロンちゃん工房」のブログを通じて人気が高まり、オーダー家具の注文は常に20人待ち。1年以上待つお客さんもいる。注文に追われながらも、ひらめいたら作品を作る自由な生活。営業 マンだったころは想像もしなかったが、好きなことを仕事にできるありがたさを感じている。