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ID :  15257
公開日 :  2010年 3月 5日
タイトル
[金山杉 沖縄の住宅に
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/yamagata/news.php?k_id=06000001003060004
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元urltop:
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写真:
 
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宮古島で再現する伝統家屋に採用  銘木「金山杉」が海を渡り、沖縄県宮古島市で伝統的木造家屋の建材になった。金山町森林組合(岸三郎兵衛組合長)が、独立行政法人・建築研究所(茨城県つくば市)の仲介で建材を提供し、建築指導に腕利きの大工3 人も派遣した。景気後退などで「金山型住宅」の着工件数が伸び悩む中、岸組合長は「遠い離島にも、お客さんはいた。発想の転換で新たな市場開拓を進めたい」と期待を膨らませている。(三浦亘)  ∞ 美しさが決め手  宮古島は、戦前までは伝統的木造家屋が普通だったが、現在はほとんどがコンクリート住宅。森林がなく建材を賄えず、台風被害も多い。数年前の大型台風で残っていた木造家屋も壊滅状態になった。
 伝統家屋を再現し、島の暮らしを実体験できる施設づくりを進める「赤瓦集落・かたあきの里」(垣花優子代表)が昨夏、管理棟を含む7棟の建設を計画した。建材として宮崎県の飫肥(お・び)杉、奈良県の吉野杉など全 国の銘木を比べた。その結果、樹齢80年以上の大径木で知られる金山杉を選んだ。金山町を訪れた担当者が杉の美林を見て「ぜひ、この木で」と決めたという。
 輸送費などのコストも問題だったが、組合の杉井範之参事は「船便なら九州から運んでも、東京からでもそれほど違いはなかった」。島には熟練した大工がいないため、大工の派遣も契約条件に含まれた。工期は3月末 までと短く、現地で丸太から材を作っていては間に合わない。建材270立方メートルは、すべて部材に加工したプレカットで運んだ。
 建材は通常建築の1・5倍多く使った。風速50メートル以上の暴風に耐えられる丈夫な設計で、湿潤な気候に合わせ、通気性を持たせる。板壁、床板、天井など見える部分は、ふんだんに木を使った。島民の関心は高 い。見学者が後を絶たず、「こんな家に住みたい」と話しているという。
 建築単価は坪60万円ほどと、通常より高いが、杉井参事は「ある程度まとまった戸数で、設計を同じにするなど平準化すれば、やっていけそう」と計算する。
 岸組合長も「今回を一発花火に終わらせず、新たなビジネスチャンスにしたい」。宮古島の人口は約6万人。人口約9万人の最上地方にとっては、大きな市場だ。似たような離島は他にもまだあるはずだ。「大手住宅メー カーが入れない『すき間』としても有望」と意気込む。