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ID :  15012
公開日 :  2010年 2月16日
タイトル
[業務用模型メーカーがネットショップに進出
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新聞名
ASCII.jp
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元URL.
http://ascii.jp/elem/000/000/497/497921/
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元urltop:
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写真:
  複数の写真が掲載されていました】
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さんけいの勝見文子社長によると、もともと模型メーカーに勤めていた父親である勝見健二氏が独立して前身である勝見商店を創業したのは1963年。以来、全国の博物館や資料館の建設が相次ぎ、古建築 模型や展示工事を手がけてきた。江戸東京博物館や大阪城天守閣にある模型を手掛けたのもさんけいだ。
さんけいの勝見文子社長  コンシューマー向けの製品を手掛けるようになったのは2007年から。静岡ホビーショーや幕張で開催される全日本模型ホビーショーでは、精巧なペーパーキットが珍しく、ブースに人だかりができた。総勢14名の零細 企業であり、ペーパーキット専門の職人がいるわけではない。博物館や資料館向けの建築模型やジオラマを作ってきた模型のプロたちが、それまで培ってきた技を紙製模型に注ぎ込んだのが「みにちゅあーと」シリーズ なのだ。
「もともと製作してきたのは、古い町並みを再現するための建物が多かった。どちらが得意かといえば、電車よりも建物だけど、博物館などの模型ではお皿やヤカンなどの調度品まで再現することが多く、どんなもので も模型にできる技術がある」(勝見社長)という。社内には木材から木製部品を切り出すための工作機械が並び、「ここは撮影しないでください」と言われる秘密のエリアもある。
展示されている民家模型の内部を見ると、人物からふとんまで、あらゆるモノの模型を作っていることがわかる 「木材のうち、模型で使えるのは目の詰まった、お魚でいえばトロの部分」といい、本物と同じ工法で「建築」する模型もある。縮尺20分の1の五重塔であれば、5万点に及ぶ部品を、材料から加工し、半年かけて組み立て る。「うちは皆趣味がプラモデルという模型好きが多く、ロッカーに家族に内緒で買ったプラモデルを隠している社員がいる」というが、さすがに五重塔は、本物よりは早く建立できるとはいえ、気の遠くなるような作業だろ う。「社員旅行に行くと、建物の軒裏を見上げ、写真資料ではわかりづらい部材の収まり具合を確認したり、どの材料で再現しようかといった検討が始まる」という大の模型好きでないと、なかなか続けられない仕事のよう だ。 さんけいのWeb利用は、Windows 95の発売時期にまで遡る。「ホームページビルダーを買ってきて、自前で作った会社紹介サイトから始まりました」というから、ネット利用はかなり早いほうだ。その後、Web制作会社が売り込みに来て、2度リニューアル。「 いまはデザインの知識がある担当者を付けて、Webサイトの更新や売り上げの管理をしている」という。
さんけいのWebサイト  サイト内の「MY作品コーナー」には、お客様から投稿されたジオラマ作品が展示されている。「安土城周辺に京福電車を走らせています」、「ペーパーの持つ風合いと落ち着いた色調は、レイアウトに良くマッチしていま す」など、熱い思いが語られており、「ホビーの王様」と呼ばれる鉄道模型ファンに、さんけいのみにちゅあーとシリーズがどれだけ愛されているかがわかる。また、毎月第3土曜日に公開される本社内にある展示室には 、地元の人はもちろん、遠方からわざわざ訪れる人もいるほど人気がある。「保管されている歴史的建造物や史料の中には絶版本や入手困難なものもあり、資料を読みふける人もいる」といい、「模型」を通じて地元や全 国のお客様とつながっているようだ。
社内の展示室では、写真(下)から模型(上)を起こす実験的企画も展示されている(実際の公開日はさんけいのWebサイトで確認してください)  「みにちゅあーとシリーズは本業である博物館や資料館向け製品の売り上げを凌駕するほどにはなっていませんが、お客さんは年々増えており、リピーターも多いです。Webサイト開設後、事業者からの問い合わせが 増え、実際に受注につながっています」というから、ネット活用は大成功のようだ。また、「木工ボンドがなかった時代、接着剤にニカワを使っていたころの模型は崩壊し始めています。修理や新資料に基づく新作など、本 業のほうも好調です」と勝見社長の笑顔は絶えなかった。