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ID :  14988
公開日 :  2010年 2月12日
タイトル
[南部アカマツ、乾燥技術の確立めざす
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000001002120005
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元urltop:
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写真:
 写真が掲載されていました
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県南地方の森林に豊富な「南部アカマツ」を高品質の住宅用建材として売り出そうと、県と三八地方森林組合が人工乾燥の技術確立に乗り出した。カビや乾燥時にねじれが出やすいアカマツの弱点を解消し て、ブランド化を進めるねらいがある。
(西川迅)  県内には3万3559ヘクタールのアカマツの森林があり、このうち三八地方の五戸町、八戸市、階上町が半分にあたる1万6778ヘクタールを占める。木目や色つやが美しく、横からの力に対して強い特長を持つため、 木造家屋の梁(はり)に使われることが多い。
 神社や仏閣など伝統建築にも重宝されているが、松食い虫の被害を受けていないアカマツの森林は、全国的にも岩手県北とともにこの地方に限定されているため、専門業者の注目を集めている。
 アカマツの乾燥試験は昨年12月中旬、五戸町にある同組合五戸川流域支所木材加工センターでスタートした。長さ10メートルほどのステンレス製の乾燥機に木材を入れ、数日間にわたってボイラーで水分を飛ばす 。導入した乾燥機は1台で、約5千万円の購入費は国から半分補助を受けた。
 長さ4メートルのアカマツの角材から乾燥前後にサンプルを採って、収縮具合などを解析。内部を均一に乾かし、しかも見栄えもよいような、コスト最少化の条件を探る。
 解析を委託されている秋田県立大学木材高度加工研究所の川井安生准教授(木材乾燥)は「アカマツは乾燥するとねじれやすく、スギと比べて乾かすのが難しい。このため技術確立が進んでこなかった」と説明する。
 川井准教授によると、乾燥前のアカマツ材の含水率を計測したところ平均70~90%だった。今回の試験では、これを18%以下にするのが目標で、乾燥温度や時間の組み合わせを変えながら繰り返す。
 乾燥時のねじれや、カビが出やすい短所を持つアカマツは、大工や工務店には使いづらい。天然乾燥が主流だったころは、住宅の建築と同時並行で大工がかんなで削るなどして「ずれ」を調整するなどしていた。
 しかし、天然乾燥は人工乾燥に比べて時間がかかるうえ、十分に乾燥させることができない。最近は工期の短縮化で、住宅用は安価な輸入材が占め、南部アカマツはチップになることが多いという。
 気温が上がるとカビが生えやすいアカマツの伐採は冬場が中心だ。今回の試験では夏に伐採したアカマツを乾燥できるかについても林業関係者らと調整して進めたいという。うまくいけば、年間を通じて一定量を出荷 することが可能になる。
 県三八地域県民局は09~10年度で試験にかかる費用など、計約400万円を計上。消費拡大を進めようと地元の木材関連業者らと昨年6月に、「南部あかまつブランド化戦略会議」を設立した。
 人工乾燥技術を確立できれば、ねじれやカビに加えて、アカマツに多いヤニの対策にもなって「一石三鳥」。同木材加工センターの工藤勲所長は「木材を使う側が持っているアカマツの悪いイメージを一掃したい」と意 気込む。