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「木造建築の技術者が高齢化し、技術レベルが落ちている。文化財修復は大丈夫かという危機感があります」と語る、ものつくり大学の白井裕泰教授は伝統的な日本の木造建築が専門。建築物の修復を通じ、
技術者の育成に取り組んでいる。
「修復は簡単に思うかもしれませんが、実は新築の方が簡単。年月を経てゆがんだ木材を修正して組み立てるのは、知識がないとできません」と力説する。
平成17年から20年にかけて、ベトナム・フエ王宮の修復も手がけた。解体して原寸大の図面を作り、修復する作業を「人体解剖みたいなもので、建物の中の中まで勉強できる」と表現する。
フエ王宮の修復で見えてきたのは、ベトナムに古代中国の建築技法が残っていたことだ。建物の内側方向に柱を数センチ傾けたり、建物の外側に行くに従って柱の長さをわずかに長くする技法が使われていた。建物の
安定性や見た目の力強さが増すという。
「中国や日本で失われた技法です。ベトナムに残っているのは奇跡的」と発見時の驚きを語る。
ほかにも、解体しないで民家を修復する技法の研究にも取り組む。低コストで済み、地震で傾いた住宅の修復などへの応用が期待できるという。 もともとは建築家を志していた。だが、大学3年生のとき研修旅行で
訪れた大津市の国宝、園城寺勧学院客殿で日本建築の魅力に取りつかれた。「屋内でも屋外でもない縁側のようなあいまいな空間に、優しさや気遣いなどの日本文化があった。日本の伝統文化を再発見した」と振り返る
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「木造建築は人間的。木は優しいし温かい」と魅力を語る白井教授。「住宅づくりは文化づくりの問題。日本の伝統文化を忘れてはいけない。伝統建築の技術を持った技術者養成が自分の使命」と前を見すえた。++/div+
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