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木造建築のネツト記事
ID :  14165
公開日 :  2009年 11月30日
タイトル
[「ヤギさんワークショップ」主宰の1級建築士・遠藤幹子さん
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/091130/trd0911300835004-n1.htm
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写真:
 写真が掲載されていました
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「みんなで美しい空間を」  「お母さんの手作りハンバーグがおいしいように、地域のみんなが手をかけて葉っぱを壁にスタンプして『ああ、楽しかった』とふり返る空間になりました」  廃校となった中学校舎をけいこ場や舞台に活用する「にしすがも創造舎」(東京都豊島区)。新しい文化芸術の拠点で、俳優が校庭でひと休みしていたり、海外から東京国際芸術祭の監督が来たり。乳幼児に絵本を読む 会が開かれたり、地元の人が校庭を耕したりする風景もある。「アート、芸能、地域、親子、運動、畑といろんな種類と年齢の人が集まるいい感じ」の空間に、カフェを作ってほしいと内装の依頼があった。
 少ない予算で新建材は買えない。ペンキでできることといえば…。思い付いたのが、校庭の葉のアートだった。新緑を思わせる緑の壁一面に広がる白い葉。白地に黒い葉。子供はもちろん、ここを母校とした大人も笑 顔で集う空間が生まれた。
                   ◇  「みんなが内に持つ力があると信じて、建築家として手を添えるだけで美しい空間ができて、地域や社会に根ざしていく。子供を育てたおかげで、それに気付きました」  「どの仕事も子供に支えられた」と30代をふり返る。留学先のオランダで、長女を授かった。「女性的本能から生活に根ざした感覚が育つ。一方で建築の仕事は男性的で、都市に必要なことを説き伏せなければならな い。差が大きくて悩みました」。そんな意識が、娘の成長とともに変わった。公園の遊具に関心を持ち、帰国後、こども環境学会の学術調査にも参加。「ふんわり頑張りすぎず“みんなの場”をはぐくんでいけるようになりま した」  神奈川・箱根の彫刻の森美術館では、幅100メートルもの黒板を迷路のように組んだ「アートループ」を出展。来場した子供たちは夢中で白チョークを握った。寝そべって無心に塗る子も。子供の想像力と芸術 を結ぶ発想が高く評価され、数々の賞を受賞している。
                   ◇  昨春、アフリカ・ザンビアを訪ねた。助産師たちがエイズウイルス(HIV)感染を防ぐ方法を歌で学んでいた。「知識は命を救うと誇りを持っていた。何より子供をみんなで見ていて、都会で子育てした私は無性にうらや ましかった。希望を分け合っている」  日本でもできる範囲で助け合おうと始めた「ヤギさんワークショップ」が好評だ。子供は小遣いを手に参加し、教わりながら新聞紙でヤギを作る。アフリカの子供には寄付金で本物のヤギが贈られる。自治体の行事、幼 児教室、企業の子育て支援、ヤギの像がある競艇場…。「ヤギを楽しく作るのが入り口だからか、思わぬ場へ広がっている。これからも、ものを、幸せを、つくり出すことに携わっていきたいです」