ID :
14099
公開日 :
2009年 11月20日
タイトル
[門司の旧料亭「三宜楼」保存へ、市民運動実る
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20090512-687307/news/20091121-OYS1T00255.htm
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元urltop:
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写真:
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昭和初期に建築された北九州市門司区の高級料亭「三宜楼(さんきろう)」の建物が、保存されることになった。老朽化のため一時は解体が検討されたが、市民らの保存運動が実り、市が無償譲渡を受けて補修・
整備することを決めた。近くの門司港レトロ地区に洋風の建物が多い中、市は和風建築を伝える遺産として整備し、2011年3月のオープンを目指す。
建物があるのはJR門司港駅に近い清滝地区。昭和初期の門司は国際貿易港として栄え、同地区一帯は料亭が軒を連ねていた。
三宜楼は1930年(昭和5年)建築の木造3階建てで延べ約1170平方メートル。2階には「百畳間」と呼ばれる舞台付き大広間がある。当時、九州最大規模の料亭で格式も高く、出光興産の創業者・出光佐三氏ら地元の
名士や国内外の経済人らが出入りしていた。
しかし門司港の衰退とともに活気を失い、55年頃に閉店。その後は元経営者の家族が住んでいたが、2005年、維持管理の難しさを理由に遺族らが相続放棄の意向を示し、地主も解体を求めた。
このため地元有志が「三宜楼を保存する会」=有光武元・代表(69)=を結成。門司区出身の写真家・藤原新也さんや小倉北区育ちのイラストレーター・わたせせいぞうさんらも加わり、募金活動を始めた。
一般公開時には1日300人が集まるほど関心は高く、約1900万円が集まり、07年に土地を取得。建物の所有者から譲渡の了承を得たうえで、保存・活用を求める約1万7000人分の署名を市に提出、無償譲渡を申し
出ていた。
これを受け、市は対応を検討し、現存する当時の3階建て和風建築物は全国的にも珍しいことなどから保存を決定。補修して日本舞踊など和の文化を体験できる場所や観光案内所、ミニギャラリーなどを整備すること
にした。
12月議会に提案する一般会計補正予算案に設計費約500万円を盛り込み、来年度に約5500万円をかけて工事を行う方針。
市門司港レトロ室は国の有形文化財登録を求める考えで、「訪れる人には三宜楼とともに一帯の路地裏の風情を楽しんでほしい」と話している。
有光代表は「三宜楼は門司港の繁栄の証し。レトロ地区を訪れた人が少し足を延ばし、『和のレトロ』を体感できる場所になればうれしい」と期待している。