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木造建築のネツト記事
ID :  13571
公開日 :  2009年 10月15日
タイトル
[青森の元気! ブナコ漆器製造(弘前市)
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000910150002
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元urltop:
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写真:
 写真が掲載されていました
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独特の曲線 高い評価■  奥行き80メートル以上あるウナギの寝床のような建物に、木の香りが漂っていた。弘前市豊原1丁目にあるブナコ漆器製造の工房。戦前に建ち、時の流れを感じさせるレトロな建物とは裏腹に、中では全国的に評価の 高いモダンな皿や鉢などの木工品が作られている。
 63年設立の同社。売り出す木工品のブランド名も「BUNACO」という。県内に豊富にあるブナの木の有効利用を目指して開発し、製法自体がユニークな商品だ。
 ブナ材をかつらむきのような要領で厚さ1ミリほどの板にし、幅6~20ミリに整える。それをコイル状に巻き、ずらしていくことで深みや丸みをつけて皿などの形にしていく。BUNACOの名称は、ブナとコイル、そして「 ~っこ」という津軽弁を掛け合わせた。
 特殊な製法のため、形をアレンジしやすい点が特徴。とりわけ、曲線を生かしたデザインが同社の商品の魅力となっている。商品化は、外部のデザイナーらにアイデアを出してもらい、それをもとに実際の「作り手」であ る同社の約20人の職人らの意見を聞きながら進めていく。
 「トン、トン、トン」「ガーッ」。職人の仕事場である工房には、トンカチなど工具の音が響く。この道約50年という石田巌さん(66)は「他にはない製品を作れる点が魅力。体力が落ちてきた分、どう技でカバーするか。5 0年やってきても、まだ考えることはいっぱいある」と、節の太くなった指をさする。コイル状の平らな「板」に湯飲みやトンカチを当て、巧みに立体的な形にしていく。
 デザインの独創性、そして職人たちの確かな仕事ぶりから、同社の商品は高い評価を受けている。「グッドデザイン賞」は、今年度を含めて5回受賞。08年にはティーセットが英国でデザイン関連の著名な賞を受けた。
 もともとは食器などを主に手がけたが、近年はインテリア商品にも力を入れている。02年には照明器具を開発。ブナ材から透けて見えるオレンジ色の暖かい光が、見る人の心を和ませている。
 商品は弘前市土手町100の1「もりやビル」2階のショールームで見られる。問い合わせは同ショールーム(0172・39・2040)へ。(大西史晃)  ◇デザイン性備え「勝負」-倉田昌直社長(55)◇  BUNACOの特徴は、形状が「自由」になる点。現在は、100を超える商品を取り扱っている。得意とする曲線の表現が柔らかく、温かい印象につながり、人の感性に訴えかけてくれるのだろうか。時代の先端を行くデザ イナーにも評価してもらっている。
 うちは金もない弱小企業だが、アイデアを出してくれるデザイナーの力も大きい。しかしそれは一方で、デザイン性の高さなどを備えれば、地方からでも勝負できる、ということにつながる。手作りである点も、単なる工 業製品ではない「価値」を生み出してくれていると思う。ショールームを東京ではなく弘前に設けたのも、ブナのある岩木山や白神山地の自然に思いを巡らせてもらえれば、とのこだわりがあるからだ。
 将来は、マーケットを海外にも求めていきたいと思っている。今は、国や県の支援を受けながらその準備を進めている。
     ◇  「青森の元気!!」では、独自の技術やユニークな商品開発などを生かして輝く県内の企業を隔週で紹介します。