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木造建築のネツト記事
ID :  12934
公開日 :  2009年 8月22日
タイトル
[かつての“街”に広がる森 代々木公園(東京都渋谷区)
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/amuse/meien/CK2009082202000140.html
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元urltop:
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写真:
  イラストが説明として掲載されていました
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活気あふれる原宿にほど近い門から園内に入ると、大きな買い物袋を抱えた女の子二人の姿が目に入った。木陰にあるベンチで「疲れたねえ」と話し、ペットボトルの水を飲んでいる。芝生の広場に目を移 すと、寝転がる親子連れやバドミントンを楽しむ若者たち。雑誌から飛び出してきたようなおしゃれな男女が小さな犬と散歩している。「ひもから放して、自由に遊ばせたいから」と、園内北側の一角にあるドッグランに向 かう途中だ。
 公園の広さは約五十四万平方メートル。明治神宮に隣接する森林公園の部分がA地区、道路を挟んで陸上競技場や野外ステージなどを備えているB地区はメーデーの開催地としても知られている。敷地の三分の一は 森林に覆われているが、森は人の手によって造られた。
 開園は一九六七年十月。江戸後期には大名屋敷があり、周辺は田畑が広がるようなのどかな場所だったが、明治後期に陸軍代々木練兵場へと姿を変える。戦後は米軍に接収されて、駐留軍家族が住むワシントンハイ ツとなり、八百戸を超える住居や教会、劇場も備えた一つの街だった。
 一九六四年の東京夏季五輪では、ハイツの建物が転用され選手村として整備された。原宿駅に近い公園東側には、当時使われた白い壁に瓦ぶきの平屋が残る。オランダの選手たちが利用したもので、多くの国の若い 選手たちが交流し、青春の一ページを刻んだ。
 汗をぬぐって公園を歩いていると、公園西側に飛行機をかたどった石碑を見つけた。「日本航空発始之地」。そばにはなじみの薄い二人の胸像が鎮座する。
 「実は日本で初めて飛行機が飛んだ場所でもあるんですよ」。代々木公園サービスセンター長の高木康司さん(57)が教えてくれた。
 一九一〇年十二月十九日、徳川好敏陸軍大尉が操縦したフランス製のアンリ・ファルマン式複葉機が四分にわたって、高度七十メートル、距離にして三千メートルを飛行。次いで、日野熊蔵大尉も別機で一分間の飛行 に成功。高木さんは「当時は三十万人の見学者がいたとも言われていますよ」と笑った。
 二〇一六年の夏季五輪開催を目指す東京は、公園のB地区にバレーボール会場の新設を計画している。もし開催が実現すれば、五輪と縁深い都心の憩いの場が、初めて飛ぶ飛行機を目にした人たちが抱いたよりも、 もっと大きな興奮と熱狂に包まれることになるかもしれない。 (小川慎一) ◆レンタサイクルでぐるり  雑木林を縫うように走るサイクリングコースを楽しみたい-。来園者に人気なのが公園内で借りられる自転車だ。二人乗りで一緒にこげる「タンデム」という特殊な自転車も用意されている。利用料は1時間で大人用20 0円、子ども用100円。貸し出しは午前9時~午後4時、月曜定休。
 JR原宿駅か東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩3分。問い合わせは、代々木公園サービスセンター=(電)03(3469)6081=へ。