ID :
12202
公開日 :
2009年 6月20日
タイトル
[屋久島入山制限へ
.
新聞名
読売新聞
.
元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20090621-OYT8T00208.htm
.
元urltop:
.
写真:
.
縄文杉から50メートル 用足す人
大勢の登山者が訪れる縄文杉(4月撮影)
観光資源の保護のため、環境省と屋久島町が入山制限に踏み切る方針を固めた世界遺産の屋久島。環境破壊が進みつつある現場を記者が歩いてみた。
樹齢1000年超の屋久杉が茂り、霧に煙る神秘的な島。そんな屋久島のイメージは、激増する観光客のし尿や踏み荒らしのため崩壊寸前だ。
今月9日午前5時半。小雨降る平日にもかかわらず、登山道の発着点にある荒川口のトイレには、10人の女性の列ができていた。片道11キロに及ぶ縄文杉への登山道に、トイレは3か所しかない。登山道を外れて用
を足す人が後を絶たない。
5キロほど先には、ログハウス風のバイオトイレがあるが、「メンテナンス中」の札が下がっていた。男女兼用で、数も2基しかない。大型連休中に利用量が限界を超え、おがくずによるし尿の分解ができなくなり、1か月
過ぎても復旧できずにいた。
植生荒廃も危機的だ。一部に木道もあるが、1人分の幅しか確保できないため、観光客はすれ違う際に道をはみ出して歩く。削られた地表に雨水が流れ込み、登山道の幅が広がったり浸食されたりする悪循環が続く。
ようやく到着した縄文杉は、木製デッキの上からしか見物できない。観光客による踏み荒らしで根っこが露出し、遺産登録から3年たった1996年に設置されたが、カメラを手にした人でごった返していた。
「大きな木の裏でするんだよ」。縄文杉を過ぎて約50メートル辺りで、男性ガイドが女性客3人にトイレットペーパーを手渡していた。3人は、進入禁止のロープをくぐって木の根やコケを踏みながら、原生林に消えた。
環境省は今季、携帯トイレの普及に取り組んでおり、大型連休中に縄文杉ルートで試験実施もした。ガイドも承知のはずだが、「やむを得ない」とあきらめ顔だった。