ID :
1318
公開日 :
2006年 7月11日
タイトル
[気仙大工復権へ 「福祉」「環境」キーワードに 大船渡振興局
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws1645
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元urltop:
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写真:
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県大船渡地方振興局(廣田淳局長)は、気仙大工の振興策と今後の住宅のあるべき方向性について考察した「気仙大工・船大工振興事業」の調査報告書をまとめた。伝統技法を有した気仙大工の復権をかけ、
戦略的な手法を模索。「福祉」と「環境」をキーワードに、懐古的な気仙大工から進取的で人にやさしい気仙大工ヘの転換を求めている。
同振興局では十七年度、地域の特性を生かした個性ある地域振興を図ることを目的に、地域活性化調整費(二百万円)を活用して気仙大工・船大工の実態と現状把握、住宅メーカーや消費者などへの調査活動を実施
。このほど、その結果を報告書としてまとめた。
調査は、低迷する新築住宅着工件数の中で、多様化するニーズと年々失われつつある気仙大工の伝統技術と文化にスポットライトを当て、主に気仙大工の振興のために今後必要と思われるキーワードを抽出した。
報告書は、気仙大工の歴史と現状、気仙地域における住宅ニーズとユーザー動向、気仙大工の意匠と現代住宅への可能性、明日の気仙地域の住宅を考えるキーワード、新たな気仙ブランドの創造など十章立てで構
成。この中で、「気仙大工の伝統的なイメージをいかにして団塊世代、団塊ジュニアと呼ばれる世代に、新しい印象を付加してアピールしていくかがカギ」と指摘したうえで、「伝統を継承しながら、そこに高断熱・高気密と
いう技術を付加し、予防医学、居住福祉、環境間題といったキーワードを散りばめた包括的な視点で住宅を考えること」を、新しい気仙大工のプレゼンス(存在感)向上のポイントに挙げている。
気仙地域の住宅を考えるキーワードとしては、木の特長を整理してユーザーに訴求していくことが伝統復権の第一ステップとし、森と水、化学製品と健康、百年住宅の価値、省エネ、バリアフリー、リフォームなど、ユー
ザー(生活者)の健康や安全、快適性を守り、環境にも負荷をかけない住宅づくりを項目別に取り上げた。
気仙地域の地場工務店にとって「認知度向上」への戦略的手法としては▽伝統技能プラス科学的に裏付けされた高断熱・高気密技術の修得▽建築家・インテリアコーディネーター等とのコラボレーション▽施主向け・業
界内セミナーの定期的な開催▽気仙の住まい・マニュアルの制作と共有―などを提言。
さらに、「日本有数の日射量のある地域特性を生かしたパッシブな設計に高断熱、高気密の手法を加味し、地元の木をふんだんに使った伝統技法を生かしていくといったコンセプトを持てば、日本のモデル的住宅とも
いえる“古くて新しい住宅”の実現が可能」とし、新たな時代に即した地域密着型の経営スタンスを求めている。
大船渡地方振興局企画振興部の小田島新特命課長は「報告書は、気仙地域の工務店が今すぐ一棟でも受注できる方策を探ることを最優先課題にまとめた。気仙大工のすばらしさを後世に残すためにも地域の工務店に
周知を図るとともに、一般施主の参考にもなれば」と話す