ID :
11268
公開日 :
2009年 4月10日
タイトル
[極寒不況時の木質建材業界でも元気な企業4社を総括して
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新聞名
データ・マックス
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元URL.
http://www.data-max.co.jp/2009/04/4_67.html
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元urltop:
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写真:
木材業界の記事です
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プレカット加工を軸に流通の主導権を握る 市岡とキユーハウの両社は、すでに社内に構造設計の専門者を擁している。今後、住宅の耐震性能がより重視され、税制やローン金利等の優遇策が図られる
時勢が予想されるとますます両社の競争力が増すことは間違いない。構造計算もできない設計事務所は淘汰されるか、プレカット工場の下請け意匠業者にしか過ぎなくなる。
つまり、大工・工務店・住宅会社が平面プランを持ち込めば、プレカット工場が構造計算はもとより、内・外装部材やサッシ・キッチン・サニタリー等の提案から施工費まで見積もり、工事の進捗に合わせて納材、施工する
というような物流から施工までの主導権を握ってしまうという時代がそこまできているのだ。なかにはプレカットした部材を現場で組み立て(建て方工事)までやってのけるところまで現れようとしている。
キユーハウの岩永清先代社長が見通していたのは、プレカット加工を通じて流通の主導権を握るリーディング・カンパニーになる、ということではなかったろうか。
すでに市岡はプレカット加工以外の建材・住宅設備機器の売上が、ゼロから25%を占めるまでになっており、一方のキユーハウは全売上の40%をプレカット加工が占めるまでになっている。
また、キユーハウは本社工場に中国からの技術研修生9名を採用し、コストダウンと技術者育成に取り組んでいる。この外国人研修生制度は、現在では研修期間1年に加え、さらに実習期間として2年間延長できるが、
政府は少子化による将来の労働力不足に備え、総期間を5年間に延長しようとする動きもある。さらには移民制度まで採り上げようとしている。
岩永彬現社長の深謀遠慮振りからも今後も目が離せない。
他業種への進出が支える「本業」の高い競争力
4社のなかで異彩を放つのが高千穂(株)である。
同社は塗装合板を主力とする合板加工業者であるが、同社構内に保税倉庫を持つ。港の岸壁から工場までの陸送運賃を産地シッパー(輸出業者)負担にし、仕入れも輸入商社の介在を排して商社口銭をカットするなど
のコストダウン努力をしながら、一方では塗装ラインの改良を重ねて生産性を上げる努力を怠らない。
こうして九州内の需要の60%のシェアを握り、プライスリーダーとしての地位を築いている。
さらにバブル崩壊後の、地価と金利が最安値の時期に不動産賃貸業へ乗り出し、会社の人件費を含めた総販売管理費(金利含む)や借入金返済額も、すべてこの不動産賃貸業で賄っている。川井田社長いわく「不動産
賃貸業が本業で、塗装合板部門が副業になってしまったようだ」と笑うが、逆にそう言えるほどに塗装合板部門の競争力がますます強まっているということである。したがって今回、円高に転じるやいなや、他社に先駆け
て市況の先安を読んだ見切売りに踏み切れたのだ。他社が慌てて追随売りに出ても、取引先の倉庫はすでに高千穂の納入品で埋まってしまっており、売り逃げできなかったのである。
高千穂は合板を取得原価で売り浴びせても不動産収入で経費は賄えるが、同業他社がそれに追随すると自らを破綻への路へとつなげてしまうことになる。つまり、生殺与奪の権限は高千穂に握られてしまっているので
ある。