ID :
10377
公開日 :
2009年 2月 3日
タイトル
[家造り 地域の工務店、親身対応
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新聞名
ヨミウリホームガイド
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元URL.
http://home.yomiuri.co.jp/news/20090203hg01.htm
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元urltop:
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写真:
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地域の工務店に任せる家造りが注目されている。消費が冷え込み、建築不況という状況でも、人気を集める工務店もある。施主として、細やかなやりとり、メンテナンスの充実ぶりなどのサービスがうれしい
。いくつかの現場を訪ねた。(山畑洋二)
「大手ハウスメーカーさんが総合病院なら、僕らは地域の開業医みたいな存在なんですよ」と、年間15~20戸を建てる岡庭建設(西東京市)統括リーダーの池田浩和さん(41)は言う。同社は、設計セミナーや建築中
の住宅の構造見学会など、大手とは違う情報提供をしている。
「いい家はお施主さんの勉強量に比例する」をモットーにしており、家を建てたい人向けに毎月開くセミナー「家造り学校」には毎回、10人前後が参加。1月のテーマは、近く施行される「長期優良住宅(200年住宅)の普
及の促進に関する法律」。限られた敷地にどんな家を建てられるかなど個別相談にも応じる。
構造見学会だけでなく、完成時や、引き渡しから3~5年たった住まいの見学会も開いている。構造見学会を訪れた西東京市の会社員(43)は「2年以内に建てたい。セミナーで学び、柱や断熱材も見ておくと安心」と話
す。
「地域の工務店は一層、技術を磨かないと選ばれない」と池田さん。工務店ネットワークに参加し、法制度や新技術などの情報収集を欠かさない。東京西部がエリア。それ以外の場所での新築や増改築の依頼はネットワ
ークを通し、その地域の工務店を紹介する。
年間4、5戸を建てている兵庫県豊岡市の工務店「里やま工房」が、昨年12月に開いた完成見学会には約250人が集まった。社員5人という制約から、受注は半径約50キロ内に限っているが、口コミから注文が相次ぎ
、着工まで1年待ちのケースもある。
神社の門前にある自宅を建て替えた同市の公務員森垣雅則さん(53)は「大手ハウスメーカーなど9社と話したが、納得いかなかった。里やま工房は、景観にあった和風スタイルを提案してくれた」とする。
地場産業だった養蚕農家に残る伝統様式に、新しい床暖房の技術などを組み合わせた工法が持ち味。大工、左官、瓦ぶきなど地域の職人に工事を依頼し、県産材活用も進めてきた。工務店代表の池口善啓さん(55)
は「地域の技を継承し、雇用や地場振興に一役買うのも務め」とする。
地域に根付いている工務店で家を建てると、完成後の修繕や増改築でも安心感がある。
岐阜県中津川市に本社のある中島工務店では、神戸支店(神戸市)で家を建てた約250家族が親睦会を作っている。
今月1日、神戸市内で開かれた総会には約240人が参加し、岐阜の地酒を囲み、東濃ひのきのロッキングチェアなどが当たる抽選会を楽しんだ。親睦会長の杉山緑さん(74)は2005年、兵庫県明石市内に家を建て
た。「同じ立場の施主同士なら悩みを相談しやすい。工務店とも建てた後も本音で語り合えるいい関係にある」と話す。
同支店は社員総出で会場設営し、メンテナンス相談窓口も設けた。「家を建てて頂いた後こそ大切。新しい顧客を招いてくれる存在でもあり、息の長い付き合いを」とする。
じっくりと「優良店」探し
「優良工務店の会」が開いているホームページ 一生の買い物でもある家づくりを地域の優良工務店に依頼する主なメリットとして、中城康彦・明海大不動産学部教授は、▽全体の価格が同程度なら、大手のハウスメーカ
ーより営業経費が安い分、高い品質を期待できる▽地域に根ざし、アフターサービスなどを期待できる――などを挙げる。
工務店をどうやって探せばいいのか。「まず、近所で『いいなあ』と思う家を見つけよう」と提案する。住人に事情を説明し、住み心地や、どの工務店が建てたかを教えてもらうといい。
次に、その工務店へ連絡し、手がけた別の2、3戸を紹介してもらえば、おおよその評判や技術が分かる。手間暇がかかるが、時間を十分かけるだけの価値はある。「施主に引き渡された家は生きたモデルハウス。活
用しない手はない」と強調する。
工務店をいくつか巡ると、自然素材へのこだわり、断熱工法、バリアフリーなど、得意、不得意の分野や技術力の違いも見えてくるという。完成後のメンテナンスを考え、近くの、という選択肢もある。
中城教授は、工務店の経営状況には注意を要する、とくぎも刺す。工務店側が、請負契約の締結をひどく急がせたり、予想外の工事着手金額を示したりする場合、「資金繰りに苦しんでいると疑うべきだ」と言う。
新築住宅に欠陥が見つかったが、販売業者はすでに倒産し、補修工事も期待できないといった最悪の事態が起きた場合、購入者を守る住宅瑕疵担保履行法が、10月から本格施行される。
マンション、ホテルなどを巡る耐震強度偽装事件を教訓に整備された。同月1日以降に引き渡される新築物件で構造上の主要な部分で欠陥があれば、販売業者などが倒産しても、購入者には補修費を最高2000万円
まで公的な機構が補償する。
◇
工務店選びでは、工法、デザイン、資材などの新技術を取り入れている全国的なネットワークへの参加の有無も、目安の一つになる。「優良工務店の会(QBC)」(129社、東京)は、財団法人・住宅産業研修財団が一定
の技術力養成のため行う研修を受けた工務店で組織する。全国65の工務店による「住環境価値向上事業協同組合(SAREX)」(東京)は資材の共同購入を行っており、工法の勉強会も頻繁に開いている。
工務店ネットワークの例