ID :
1105
公開日 :
2006年 5月30日
タイトル
[国民の安全と財産を護る建築を
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新聞名
日本消費経済新聞
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元URL.
http://www.nc-news.com/frame/20060605/gan060605.htm
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元urltop:
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写真:
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弁護士、 建築士や欠陥住宅被害者などで構成する欠陥住宅被害者全国連絡協議会 (幹事長・吉岡和弘弁護士) の第20回静岡大会が20日、 アゴラ静岡で開かれた。 討議の中で、
建設行政の実態が明らかにされた。 今大会は耐震偽装事件で被害を受けているマンション住民の参加が多かった。
現建築基準法は政令で指定する人口25万以上の市に、 その長の指揮監督のもと、 建築確認に関する事務を執行する建築主事を置くことになっている。 また、
建築主事が建築主から出された構造図面図書などを審査し、 建築確認書を交付しなければ施工できないことになっている。
しかし、 建築主事の資格をもつ公務員が少なく、 図面などを精査するために時間がかかることから、 建築確認書の交付が遅れ、 施工業者から苦情が寄せられるケースが多くなり、
公務員の中には建築主事の資格取得を敬遠する傾向がある。 その原因は、 確認遅延で施工業者から暴言を浴びせられたり、 中には暴力団の嫌がらせなどを受けるためという。
国は公務員削減の政策から、 建築主事だけを増員することもなく、 公務員の資格取得が少ないことから、 民間に建築確認検査業務を委託してしまった。 本来、
行政が国民の安全と財産を維持するために建築主事制度を設置したはずだが、 民間に建築確認検査機関を許可してしまった。 耐震偽装事件はイーホームズのずさんな建築確認検査によって引き起こされている。
この会議に特別参加したトム亀井俊彦 (米国在住・構造エンジニア) 氏は、 今回の耐震計算偽装問題の原因は根本的に職業倫理の欠落と建築士の質の問題と指摘する一方、 在住地のロスアンゼルス市は、
建築確認書の作成は市民の安全と財産を護るために行政がする。 民間に任せることはない、 と語った。 また、 行政の建築主事の任務として、 加藤哲夫 (東京都千代田区安全対策主査) 氏は、
40人の犠牲者を出した新宿雑居ビル火災の教訓から、 消防法による現場査察は事前通告なしで行っている。 建築中間検査などは抜き打ちに行うことが大事だ、 と述べている。
民間の建築確認検査機関が灰色といわれる今日、 もう一度建築確認問題を見直すべきだろう