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木造建築のネツト記事
ID :  10015
公開日 :  2009年 1月 5日
タイトル
[森を教育 癒やしの場に
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20090104-OYT8T00513.htm
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元urltop:
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写真:
 
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山あいの知恵   岡山県境に近い智頭町西谷。昨年12月27日、約30センチの雪に覆われた森の中に、地元の子どもたちの歓声が響いた。木の枝にぶら下がったり、雪だるまを作ったり。子どもの遊び心 は休むことを知らない。
 その様子を笑顔で見守るのは、同町大屋に住む2児の母、西村早栄(さえ)子さん(36)。県内初の「森の幼稚園」を、4月に町内に開こうと考えている。この日も、準備として月に1回開いている「お散歩会」常連の近所の 子どもらを森に連れ出した。
 森の幼稚園に園舎はない。子どもたちは木立の中で虫取りや木登りをして過ごす。「幼い頃に自然の雄大さを肌で知り、感性を磨いてほしい。森に囲まれた町だからこそ出来る子育てだと思う」  西村さんは東京出身。京都大大学院で林業を学び、結婚して夫の故郷の鳥取市へ。「森のそばで暮らしたい」との思いが募り、2006年に一家で町内の古民家に引っ越した。
 周囲を見回し、「子どもたちのために、ここで何かできないか」と考えるうち、思い浮かんだのが、以前に本で読んだ「森の幼稚園」。デンマークが発祥で、国内でも約100か所で取り組まれている。
 賛同する父母ら7人で昨年3月、「智頭町に森のようちえんを作る会」を結成。「お散歩会」の参加者は当初の親子15人から40人にまで増えた。
 森林が町面積の93%を占め、谷間ごとに小さな集落が点在する同町。人口は1990年代に1万人を割り、約8500人にまで減った。「『環境のいい智頭で子育てをしたい』と移り住む人が増えれば」。西村さんは、そん な夢も描く。
    ■  □  住民に負けじと、町も「森林セラピー」事業を構想中だ。ストレスを抱えた都市住民を招き、森林浴で心と体を癒やしてもらう。
 特長は、智頭病院との連携。森林浴の前後には、病院で血圧のチェックやカウンセリングを行う。森林セラピーは全国30以上の前例があるが、医療面のサポートが充実している例は、まだ少ない。
 「政治や経済が混迷し、息苦しい世の中になっている今こそ、田舎の出番。日本に一つくらい『ここに逃げておいで』と呼びかける町があってもいい」。寺谷誠一郎町長(65)は「疎開のまち」を目指すのだと言う。
    ■  □  12月14日、智頭町中央公民館は、住民や町職員ら約200人の熱気にあふれていた。「百人委員会」の公開ヒアリング。地域の活性化のため、住民が政策を提案する新たな試みは、町との予算折衝という節目を迎えて いた。
 20~80歳代の140人が無報酬の委員に任命され、商工観光や農林業など6部会に分かれて9月から知恵を絞ってきた。「空き家を整備して森林体験の宿に」「無農薬野菜で魅力ある弁当を開発」。地元の資源を見つ め直す21のアイデアが飛び出した。
 教育文化部会の委員に加わった西村さんも「森の幼稚園」をアピール。年間の運営費を700万円と試算し、町に助成を求めた。
 寺谷町長は「山を削って箱物を作っても、人は来ない。日本の原風景のような今の姿を変えたくもない。田舎の良さをどう生かすか、変わるべきは我々の方だ」と言い切る。
 山あいの町を人の知恵で売り出す試みが始まった。