ID :
1083
公開日 :
2006年 5月27日
タイトル
[薄板をくぎで留めた琴板出土 栗東・小柿遺跡
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新聞名
京都新聞
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元URL.
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006052900251&genre=M2&area=S10
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元urltop:
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写真:
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栗東市教委は29日、滋賀県栗東市小柿5丁目の小柿遺跡から、古墳時代前期(4世紀後半)の「槽作りの琴」の琴板が見つかった、と発表した。表面に薄板をあてて木製のくぎで留めた、これまでに例のない琴
板で、市教委は「琴を補強するためか、見栄えをよくするために飾りとしてつけた可能性がある」としている。
小柿遺跡内にある河川跡(幅約8メートル、深さ約1メートル)の砂層から出土した。琴板は、長さ103センチ、幅13センチ、厚さ1・4センチで、琴尾(ことび)部分に長さ0・9センチ、幅2・9センチ、厚さ1・5ミリの薄板
の一部が木のくぎで留められていた。
古代の琴は祭祀(さいし)・儀礼用で、「槽作り」は弦を張る琴板の下部に、木をくり抜いた箱をつけて音を共鳴させる。市教委は、今回出土したのは長さ140センチ以上、幅30センチ前後の六弦の大型の琴の一部とみ
ている。出土した琴板の琴尾部分には、弦を留めるための突起が3つ残り、薄板は中央の突起の根元付近にあった。
市教委によると、槽作りの琴板は全国で約110点、県内でも同市の野尻遺跡などで発見されている。琴板を補強した例は、大津市の滋賀里遺跡などで見つかっているが、薄板を木くぎで留めた例は初めてという。
放送大の笠原潔助教授(音楽学)は「弦で琴板を傷つけないために補強用につけた可能性が強いが、はっきりとは分からない。今後の類例の出土を待ちたい」と話している。
小柿遺跡は縄文-江戸期の複合遺跡。共同住宅建設に伴い、今年1月から発掘調査していた。
出土した琴板は6月1日から12日まで、栗東市下戸山の市出土文化財センターで展示する。