ID :
9930
公開日 :
2008年 12月21日
タイトル
[地震に備えて既製家具・家電の耐震強化
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/housing/amano/TKY200812210058.html
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元urltop:
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写真:
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私を含めてですが、目の前で収納家具や冷蔵庫などが転倒するほどのひどい揺れを実際に体験された方は少ないと思います。来年で14年になる阪神・淡路大地震や新潟中越地震などで被災された方々は
一様に、家具や家電の転倒の怖さを話されます。
倒れてきた収納家具や物に挟まれてケガをしたり、倒れてきた家具に行く手を阻まれて逃げ道を失ったり、ドアが開かなかったりなどで不運にも火焔に巻き込まれた方も多いのです。起震装置などでこの揺れを体験す
ることもできますが、実際には想像を絶する揺れとともに、物が落下して食器が飛び散り、その音の凄まじさが恐怖感を増幅させ、パニックに陥るそうです。
ガラスの棚は最近少なくなりましたが、それでも飾り棚のガラス戸が割れたり、台所の吊り戸棚の物が飛び出てきたりなどで危険がいっぱいです。そこでまず、棚など収納家具の転倒防止です。タンスや飾り棚などの収
納家具が倒れるのは、家具の片方が回転するように持ち上がるためです。従って家具と天井の間にすき間ができないように、きっちりサイズの箱を作り、それを押し込むようにはめ込みましょう。
市販の横H字型で高さが調整できる突っ張りの金物は、この原理を応用したものですが、激しい揺れには支えが天井に突き刺さったり、家具の上面を突き破ったりする危険性があります。家具の上と天井面に家具と同じ
大きさの棚板や構造用合板を挟んで補強することが大切です。つまり広い面で抑えて力を分散させることが効果的です。
写真は飾り棚を天井面までぴったり押し上げ、その下のスペースに引き出しのついた箱をかましたものです。家具や物の重量を支えるため、柱と方立てによるしっかりした箱が必要になりますが、多少大きくなっても足
下だけに目立たず、家具の見かけを損ねることもありません。
この例では、扉がガラス戸なので飛散防止フィルムを張って物が当たっても割れないようにし、扉そのものも開かないように家具用の鍵を付けています。よく欧州の家具やクローゼットの扉で引き手がなく鍵穴だけのも
のがありますが、あのスタイルです。これなら地震時にも扉が開いて物が飛び出して来ることもなく、幼児も勝手に開けられず、いたずら防止もできて安心です。
キッチンの吊り戸棚は高い位置にあるため、物が勢いよく飛んで来ます。扉が開かないようなラッチ式のカギ付きドアもありますが、引き手に太めの輪ゴムやヘアーバンドのようなもので留めるのも簡単な方法です。高
所収納はできれば引き戸の方が安全です。
被害が多い割に意外に見落としがちなのは大型の冷蔵庫やテレビです。阪神・淡路大震災では、洋服ダンスや大型冷蔵庫の扉が開いて転倒してきたところに下敷きになった子どもや老人が多くいます。冷蔵庫は扉にも
ビールなどの物を入れるため、ドアが重く開いたら危険です。だからと言って、冷蔵庫やテレビなどを壁に縛り付けることは困難です。そこでこれらの前足の下に硬質ゴム(市販の吸振ゴム)などで少し高く上げましょう。厚
さは5~10ミリぐらいあれば十分で、前に滑り出すこともドアが開くこともなくなります。
次回は暮れと正月に向けて「家の外回りの耐震と防備について」です。
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天野彰(あまの・あきら)
岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。
「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で
精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康
な住環境をつくる会」代表。
著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『
リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。