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ID :  9261
公開日 :  2008年 11月 5日
タイトル
[ツリーハウスでまちづくり―米原市上丹生の取り組み
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.news.janjan.jp/area/0811/0811030750/1.php
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元urltop:
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写真:
  複数の写真が掲載されていました】
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滋賀県米原市上丹生では、まちづくりの一環として今年の3月からツリーハウスの製作を開始。大人と子どもの共同作業で、わずか5ヵ月弱で完成させた。応募した「第7回 トム・ソーヤースクール企画コンテ スト」では現在ベスト50に残り、大賞を狙う。
※以下の写真はクリックで拡大します。 丸太をひいた底の部分。ここから下までが6m。 シャボン玉を飛ばす子どもたち。 ツリーハウスから見る上丹生地区。  「日本の渓流の里」として美しい景色を誇る滋賀県米原市上丹生で11月2日、夢のあるオープン式が開催された。ツリーハウスの完成式である。集落のふれあい広場には地元住民をはじめ、遠方からもツリーハウスを 「ひと目見たい」と多くの人が集まった。上丹生自治会のテントの下ではおにぎりやけんちん汁がふるまわれ、手作りピザには行列も。 ツリーハウスを見上げながら、子どもも大人も秋晴れの1日を楽しんだ。
 さて、写真のツリーハウス。造ったのは上丹生地区のまちづくり委員会「プロジェクトK」のメンバー。きっかけは、日清食品の「安藤スポーツ・食文化振興財団」の自然体験.comの公募「第7回 トム・ソーヤースクール企 画コンテスト」だった。
 同財団が全国の学校や団体が企画する自然体験活動を応援支援し、表彰するというものだ。大賞は100万円。日頃からまちおこしに奮闘してきたプロジェクトKがこれに臨んだというわけである。
 結論から言おう。上丹生のツリーハウスは100点の応募内容から見事、ベスト50に残った。最終選考の結果発表は今月末。プロジェクトKの会長、吉田英治さんは「もしかすると、いいところまでいくかも」とニヤリと笑う 。
 製作工程を聞いた。取りかかったのが3月。とにかく初めてのことなので、アウトドアの専門家にネットを通じ、ツリーハウスの基礎を教えてもらった。設置する場所の確認から木の選択など一番重要なところである。元 々、山里に生まれ育ち、山を遊び場としたメンバー達は材料の調達(全て地元産)をはじめ、難なく作業をこなしていった。そして、5月の連休から本格的に始動。子どもたちも丸太を運び、木の皮を向き、ニスを塗った。
 工程で一番重要で難しいのが立ち上げの床である。上丹生地区の場合、高さ6m。これは日本一に近い高さだという。支えるワイヤーも市販のものは短いため、手作りで更に延長。滑り止めはシュロを木の周囲にまいた 。こうして、樹齢60年、直径30cmの杉木6本を柱としたツリーハウスの足場ができた。一連の作業はメンバーのひとり、とび職の嶌田敏幸さんが中心を担った。通常、ハウスの底の部分は角材を使うが、今回は丸太を使 っている。これも全国的に珍しい。大人は仕事の合間、子どもたちは学校の合間をみはからいつつ共同で作業を進め、わずか5ヵ月弱で完成させてしまった。
 山里の冬は厳しい。積雪もある。吉田さんに雪の影響を聞いたが「大丈夫。10年はいけそう」と見通しはあかるい。また、今後は「屋根を孟宗竹にしようかと考えている」とも話す。ツリーハウスの周辺は山が広がり、素 人から見れば、まだまだ造れそうだが、実際は地主の了解がいる。簡単ではない。吉田さんも「地主さんのご理解あっての完成」と力を込めた。山の整備は問題になっているが、今後、このような子どもたちの夢とのつな がりも期待したい。
 プロジェクトKの同企画への応募内容に「子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に……」とある。上丹生といえば夏の地蔵盆も有名である。川に沿ってろうそくの灯りを何十本もともす。昔を思いおこす景色は多くの マスコミが注目した。子どもより大人が多い集落だが、あえて、大人も遊ぶ地蔵盆を演出している。実に、遊び心いっぱいの大人がいるところである。子どもたちには幸せな環境だ。
 今回狙うのは大賞。吉田さんは「賞金はさらに子どもたちの夢につかう」と話す。ツリーハウスは見学可能。メンバーに連絡すれば中にも入れる。興味ご関心のある方は、ぜひ。