ID :
9235
公開日 :
2008年 10月10日
タイトル
[今期も厳しい木質建材系問屋の業績 越智産業(株)と同業他社
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新聞名
データ・マックス
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元URL.
http://www.data-max.co.jp/2008/10/post_2885.html
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元urltop:
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写真:
木材業界の記事です
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最近、住宅工事現場の施工会社や職方から「越智産業は現場の残材処理を行なう場合に未だ梱包も開いていない材料まで廃棄処分している」といった批判の声が聞かれるようになった。ゼネコンだけでなく
住宅会社も資材メーカーと協力し合って建築現場からの廃材を如何に減らすかという課題に取組んでいる。
積水ハウスにしても大和ハウス工業にしても既に5年以上前に「ゼロミッション」を達成している。越智産業の所業を見て、大手住宅メーカーから産廃処理のやり方に厳しく指導・訓練を受けてきた現場の職方達から顰
蹙を買っているのだ。
最近の越智産業の利益率が大きく低下しつつあるのに、工事の材料ロスを如何に低減させ、収益改善を行なうとともに、同時に産廃処理剤を減らし環境対応をするということに挑戦しないのであろうか?
まがりなりにも国内ビッグ4の建材問屋が率先して現場美化と産廃量の低減を図らないのであろうか?
外壁工事を例に取ると、おそらく図面から開口部を引いた総壁面積を算出し、次に外壁材1枚当りの面積で割り必要数量を弾き出す。次に割付をやらずに単純に10%とかのロス率をかけて必要総枚数を算出してメー
カーに材料発注しているのではなかろうか?
施工完了後現場に開梱していない正規品が残っていてもロス率の範囲内として産廃処分されるのである。メーカーから入荷した資材が一定期間倉庫に滞留すると停滞在庫として評価されるし、現場で余った材料を未
開梱であるから次の現場で使おうと考えて倉庫に持ち帰っても一定期間を過ぎると不良(停滞)在庫扱いとされてしまうのだそうだ。
勿論、工事引当のためにメーカーに発注した資材であっても現場搬入のまでのリードタイムが3日間しかなく、それを過ぎると停滞(不良在庫)扱いになるという。そのために多目に発注しておいて現場で不足材の発生
が無いようにもしているというのだ。
これが同社の監査法人からの指導だとしたら可笑しな話である。
企業がよりよい価値創出を見出すと同時に地球環境を守るための行動を起こすために何をなすべきかを指導すべきではないのだろうか?
建物の形状によってロス率は変わってくる。例えば郊外流通店舗型の方丈型の建物と、凹凸型の住宅ではロス率は全く異なる。それを一概にロス率10%で必要材料枚数を弾きだしているのなら利益率は改善できない
筈だ。455mm×3,000の外壁材(サイディング)の面積は1.365m2である。これが4枚で1梱包ならば5.46m2になる。
平均的な150m2の壁面積の住宅で1梱包廃棄処分にすると2.43%のロスがでる。正規品が2梱包廃棄されると約4.86%もの会社利益の廃棄につながるのだ。
次はフロアー(床材)について述べてみよう。
フロアーについては1梱包6枚入りになっている。1枚当りのサイズは303mm×1,820mmであるから6枚で1坪(3.3m2)である。現場が910mmモジュールならば6畳間(3坪)だから切り損じさえしなければ3梱包で済む。
しかし960mmモジュールや1,000mm(メーター)モジュールならば3梱包では足りない。そこで不足材を註文せねばならなくなる。
この場合に梱包単位で注文するとなるとかなりの量の残材が残る。大工の切り損じのロスまでみているともっと量が膨らむことになる。
現場担当者はそれが必要悪だと思って諦めているのであろうが、メーター(1,000mm)モジュールを採用している積水ハウスは20年以上前から最小発注単位をフロアーの場合2枚としている。また2階の床材に界床遮音
のためにALC(軽量発泡コンクリート)を採用しているが、幅600mmが標準サイズなのに根気良くメーカーと折衝して500mm幅の製品を造ってもらい現場搬入させている。
この事により現場作業でカットする手間が省力化され、ロスの残材も発生せず残材処理費、材料費ならびに施工費の節約ができた上に工期短縮効果も産み出せた。
年商800億円近い購買力を持つ越智産業がコストカットと省資源、ゼロミッション化のために努力する余地がまだ大いに残っているのだ。2例を挙げたが、こうした努力で収益力も大きく改善できると思う。
発注者(元請け)側からすると、それだけ残材を出した上に、その中に未開梱品が含まれているのを知れば己の積算(発注額)の甘さを悟り次回からは発注単価を引下げてくる筈だ。外注先の職方も越智産業からの仕事
だけで飯を喰っているわけではなかろうし、ましてやこういう批判が我々(データ・マックス)にまで届く筈はないであろう。
元請けだけでなく、職方からはそれだけの無駄(ロス)分を手間賃の引上げに回して欲しいという要望の現れであろう。
当然、工事台帳は作成され上司がチェックして決済しているのであろうが、一定額の粗利が確保できてさえおればメクラ判を押しているのであろうが、現場と図面を確認してロス率の違いをデータベース化しておかな
いとザルで水をすくうような結果になる。