ID :
8718
公開日 :
2008年 9月 2日
タイトル
[最後の宮大工」の遺志を杜に ヒノキ100本植樹計画
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新聞名
MSN産経
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080903/trd0809031046006-n1.htm
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写真:
写真が掲載されていました
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奈良の寺社の修理や再建に尽くし、木や自然の大切さを語り続けた「最後の宮大工」の棟梁(とうりよう)、西岡常一さん(明治41年~平成7年)の生誕100年を記念し、生前親交があった人や弟子らでつくる顕
彰グループが、思いをくんで文化財修理の用材を育てようと、奈良県川上村でヒノキ約100本の杜(もり)の整備を計画した。樹齢1000年級のヒノキ育成を目指し、来春苗木を植える予定。関係者は「西岡さんの精神を
伝えたい」と話している。
ヒノキの杜を計画したのは、西岡さんを敬愛する人らでつくる「西岡常一棟梁の遺徳を語り継ぐ会・木魂(こだま)会」。
西岡さんは法隆寺の大工棟梁の家に生まれ、戦前から戦後にかけての昭和大修理に棟梁として参画。薬師寺の白鳳伽藍(がらん)復興にも尽力する傍ら、古来の大工道具の復活などに取り組み、文化功労者に選ばれ
た。
一方でヒノキなどを生かした日本古来の建築の素晴らしさも伝承。「木を知るちゅうことは、自然の教えるままにするちゅうこと」など、自然に対する知恵が詰まった名言を多く残し、ファンは今も多い。
古寺修理などに使われる樹齢1000年超のヒノキは、育ちにくいことや乱伐などで西岡さんの時代からすでに不足していた。薬師寺の伽藍復興では台湾のヒノキを使用するため、西岡さんは現地の山まで足を運ばな
ければならなかった。
同会では、自然を大切にした西岡さんの思いを継ごうと、ヒノキの杜づくりを発案。川上村内の土地を借り、ヒノキの苗木約100本を植えることを計画した。来年3月に植樹会を行う予定で、その後も下草刈りなどの世話
を続け、将来的には、不足する文化財の修理に使用可能な木に育てることを目指す。
同会会長の青山茂・帝塚山短大名誉教授は「西岡さんは愛情を持ってヒノキに接した。木と人間の文化とのかかわりを示した西岡さんの精神を伝えたい」と話している。
同会では9月4日の生誕100年以降さまざまな記念事業を計画。28日には薬師寺で、西岡棟梁門下によるパネルディスカッションなどを予定している。問い合わせは森藤さん((電)090・8237・5131)。