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木造建築のネツト記事
ID :  8405
公開日 :  2008年 7月31日
タイトル
[桐材は、耐湿性、防虫性に優れ、燃えにくく軽いという特徴
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20080730ddlk02070011000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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◇「蟻組み」の精密な美しさ 桐(きり)材は、耐湿性、防虫性に優れ、燃えにくく軽いという特徴があり、昔から美術工芸品を保存する箱や家具の材料などに使われてきた。桐は成長も早く、女の子が生まれると 同時に桐を植えれば、嫁入りタンスが作れるという。
 総桐タンスといえば高級家具の代名詞だが、今も伝統的な「蟻(あり)組み」で製作する職人はわずかだ。板に台形の凹凸を付けて組み合わせる蟻組みは「板に細い鉛筆で線を引き、鋸(のこ)で線の右半分を切るか左 半分を切るかが勝負」と語るのは、弘前市で桐タンスを手がける藤田豊喜さん(76)だ。寸分の狂いもなく、やしゃの実の染料で仕上げたタンスは端正な美しさがあり、本物志向の人々からの注文が絶えない。
 優れた製品を支えるのは木への徹底したこだわりだ。「むつ市で林業をしていた父に、子どものころから木のことを厳しく教えられた」という藤田さんは、木の伐採から携わり、製材所でもつきっきりで指示を出す。製材し た木材は3~4年乾かし、さらに1カ月ほど水につけて丹念に木の油分を抜いて、はじめて使えるようになる。
 「木は切ってから何十年たっても生き物」と藤田さんは言う。「湿度が違うので、弘前で作ったタンスをそのまま東京へ持っていけば割れてしまう」という。県外へ出す場合は完成後に木の湿度を調整する。「桐タンスは洋 タンスの4倍の手間がかかる」との言葉に実感がこもる。
 藤田さんが営む「藤田タンス店」は先代の一男さんが1928年に創業した「藤田木工所」が前身だ。当初は建具や漆器の木地を作っていたが、戦後、婚礼道具に使われるタンスの需要を見越して、独自に技術を研究し てタンス製作を始めた。
 藤田さんはむつ市や弘前市のタンス店で修業後に先代の店へ入った。「弘前で一番厳しいと評判だったが、出来上がりが悪いと、まさかりで容赦なく壊された」と振り返る。しかし藤田さんの仕事ぶりは高く評価され、先 代の養子になって2代目を継いだ。
 現在はタンス製作のほか、古いタンスの再生も手がける。「桐タンスなら、厚さ6ミリの柾(まさ)を張れば50年はもつ」という。他に「桐の棺(ひつぎ)の注文が時々来る。高価だが『車のベンツには乗れなくても、死ぬ時 は“ベンツ”で』という人がいる」と教えてくれた。
 桐タンスの需要は多くないが「まだ現役。技術に自信はあるし、材料も十分手元にあり、怖い物はないよ」と、熟練の職人ならではの余裕の笑顔を見せた。【