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木造建築のネツト記事
ID :  7973
公開日 :  2008年 6月18日
タイトル
[座って初めてわかる、本物の心地よさ
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新聞名
ヨミウリホームガイド
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元URL.
http://home.yomiuri.co.jp/interior/recommend/20080618hg01.htm
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元urltop:
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写真:
 写真が掲載されていました
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「えっ? この椅子、そうやって座るの?」思わず自分が座っていた椅子から立ち上がってしまったワタシ。今月5日にオープンしたデンマーク家具のショールーム、「フレデリシア・ファニチャー」での衝撃の一 瞬です。椅子ってやっぱり奥深いなあ。
 ショールームの真ん中に2脚置かれた、見るからにリラックス感抜群のロッキングチェア。「うわ、キモチよさそう」と腰掛けて、心地よいゆらゆら感を楽しんでいたところ、ひとりの女性がやってきて、向かいのもう1脚に 腰を下ろし……と、次の瞬間、その女性はさもトーゼンといった自然さで脚を上げてアームに乗せ、予想外の姿勢でくつろぎ始めたのです!  やだ、うらやましい。私もその座り方、試してみたい。聞けば、こういう椅子に脚を上げて座るのは、デンマークではごく普通の光景なのだとか。さっそく真似してみてびっくりしました、何て気持ちよさ。ふとよみがえって きたのは、ずっと前に、初めてハンモックに寝そべった時のあの感覚。ハンモックって見た目はいかにも心地よさそうなんだけれど、その反面、なんの躊躇(ちゅうちょ)もなく寝そべるには少しハードル高めなアイテム。た だ、一回でも体験してみたなら、こんなに素晴らしい寝心地はないってくらいキモチいいのも事実。世の中にはまだ、こんなに素敵な寝心地があったのか! って思うほどなのだ。で、話はズレましたが、デンマーク生まれ のこのロッキングチェア「STINGRAY(スティングレイ)」に感じたのが、まさにそのキモチよさだったのだ。
 今回訪れたのは、デンマークの老舗家具メーカー「フレデリシア・ファニチャー」の日本初となるショールーム。フレデリシア・ファニチャーは、名作を数多く遺したデンマークデザインの巨匠、ボーエ・モーエンセンのソフ ァやダイニングチェアをはじめ、美しい木製の家具で名高いナナ・ディッツェルの椅子や、気鋭若手デザイナーの作品まで、質の高いデンマーク家具をつくり続けている会社である。このショールームは、名作ぞろいと 言われながら、これまでは日本でも小売店が限られていて、実際に目にする機会が少なかったフレデリシア・ファニチャーの家具を、実際に見て、座って、体験できる、北欧家具好きにとっては「待ってました!」な空間な のだ。
 優しい自然光に包まれたすがすがしいショールームには、モーエンセンのクラシック家具や若手デザイナーのモダン家具が心地よさそうに並んでいる。窓の外を眺めれば、建物の裏手に生い茂る緑の木々。なんだか ちょっと、日本じゃないみたいな雰囲気だ。家具の見せ方はいたってシンプル。例えば北欧スタイルの部屋を再現するとか、ドラマティックな照明で照らすとか、そういう凝った演出はしていない。けれど、だからこそゆっ くりと存分に、自分のペースで家具と向き合えることがよくわかる。なんだろう、まだ新しいショールームなのに、この居やすい感じ。光や緑のせいなのか、あるいはデンマーク家具が放つなごみ感なのか。インテリアショ ップやショールーム慣れしていない人でも、ヘンな緊張感を持つことなく家具を楽しめるはず。
 たぶん、それはメーカーが持つ自信と誇りの表れなんだろうな、と思う。フレデリシア・ファニチャーは、1955年の創業時から、当時すでに名を上げていたモーエンセンと「質の高い木製家具をつくる」という目的のもとに がっちりタッグを組み、後に名作と呼ばれる家具を多く生み出した会社である。その後も、ナナ・ディッツェル、クリスティーナ・ストランド、トム・ステップ、そして前出のロッキングチェアをつくったトーマス・ピーダーセン など、デザイナーひとりひとりと、親密かつ厳しい信頼関係を築きながら、本当に質のよいものだけをつくり、自信を持って世に送り出してきた。このショールームの、シンプルな見せ方や和やかな雰囲気は、「どうぞ、ど こからでも見て触って、好きなように座ってみてくださいね」ってことなんだろう、きっと。
 とまあ、そんなふうに感じちゃったワタシは、名作ソファや椅子のひとつひとつに、ゆっくり時間をかけて座ったり寝そべったりすること小一時間。最後にもう一度、ロッキングチェア「スティングレイ」に座り、脚を上げて、 全身をあずけてみる。そうして改めて思うのだ。やっぱり、椅子は自分の身体で座ってみなくちゃ絶対にわからない。本当にいい椅子、自分にぴったり合う椅子には、座ってみて初めて出会えるのだ。