ID
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7760
公開日 :
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2008年 5月25日
タイトル
[乏しい危機感、進まぬ耐震化 木造住宅ほぼ未補強
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20080526/CK2008052602000021.html
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元urltop:
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写真:
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県内住宅の七割を占める木造家屋の耐震化が進んでいない。能登半島地震や中国・四川大地震では家屋の倒壊被害が相次いだ。県は「わが家は大丈夫との認識を見直し、補強を進めてほしい」と訴えてい
る。 (谷悠己)
「広々とした座敷に通されるたび『ここは危なそうだ』とピンとくる」。大野市の一級建築士、大月和源さん(54)は県の認定を受けた耐震診断士。「これまで訪れた木造住宅はほぼ百パーセント、耐震性が不足していた」
と明かす。一見頑丈そうに見える太い柱が特徴の農家の屋敷でも床下の基礎や内壁が少ない場合が多いからだ。
県は二〇〇五年度、「十年後の耐震化率90%」を目標に掲げ、大月さんらプロによる耐震診断を一割負担で受けられる補助事業を開始。ことし三月までに千五百件が受診した。
しかし「お金がもったいない」「この地域で地震は起きない」といった声は根強く、自腹を切る補強工事にほとんど結び付いていない。建築基準法の耐震基準が強化された一九八一年以前の県内の木造住宅七万八千軒
のうち98%で耐震工事が済んでいないとのデータ(国の〇三年住宅・土地統計)もある。
そこで県は本年度から、各市町を通じ補強工事費を三分の二(最大六十万円)補助する事業に乗り出した。いち早く五月から募集を始めた鯖江市では既に応募枠の半分が埋まった。全国の自治体も同様の制度を導入し
ており、東京都の補助は最大二百万円と手厚い。
工法はさまざまだが、壁の一部を補強するだけなら費用は高くない。「筋交い」と呼ばれるX形の板材を柱と梁(はり)の間にはめれば耐震壁になる。居間や玄関など住宅の主要部を補強するだけでも、倒壊のリスクは
大きく減るという。
三万六千戸以上の家屋が倒壊した福井地震からことしで六十年。県建築住宅課は「いつ再び大地震が起きるか分からない。リフォームの際は必ず耐震補強を加え、万一に備えてほしい」と話している。