ID :
6895
公開日 :
2008年 3月27日
タイトル
[関西、産業素材が一段高へ――大型工場建設で需要増
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003390.html
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元urltop:
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写真:
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関西の製造業などに影響が大きい産業資材・燃料の価格が一段と上昇する見通しだ。鉄鋼や紡績メーカーなどが原燃料の調達価格の上昇分を転嫁した値上げが浸透してくるとみられ、急速な円高も歯止めと
はなりにくそう。大型液晶工場など活発な設備投資が需要を支えている品目もあり、価格上昇が首都圏より急速に進む可能性もある。企業収益にも影響を与えそうだ。
ビルの鉄骨や鉄筋に使う建設用鋼材は1月下旬から値上がりが続く。代表的なH形鋼や棒鋼は年初比3―4割高く、1トン9万―11万円ほどで取引されている。世界的な需要拡大で鉄鉱石や代替素材となる鉄スクラップが
高騰。共英製鋼や住金スチール(和歌山市)などが価格を上げたが「値上げは浸透中で、上昇余地がある」(鉄鋼問屋)との見方が出ている。
H形鋼の場合、関東よりも3000円程度高めで取引されている。建設需要は昨年の改正建築基準法施行の影響で全国的に低迷しているが、関西ではシャープや松下電器産業が薄型パネルの新工場を計画するなど設備
投資が活発。「関東よりも取引市場の過熱感が強い」(中堅電炉)という。
木造住宅の壁などに使う構造用合板も値上がりが本格化する可能性がある。価格は標準品で1枚825円前後。4、5月から需要期に入る一方、大手の林ベニヤ産業(大阪市)などメーカー側は減産で需給の引き締めに動
いている。「メーカーは市場の大きい関東への商品供給を優先する傾向がある」(合板商社)ため、品薄感が高まる可能性もある。
関西に多い繊維産地向けの綿糸も先高観が強い。標準品の取引価格は1コリ(約181キロ)7万円前後で1年前より約4%上昇した。米国ではバイオ燃料の原料のトウモロコシを増産する動きを受け、綿花生産が減少。綿
花は3月にさらに値上がりが進んだため、繊維商社は「2―3カ月後には綿糸価格に反映されるのでは」と予測する。
鉄スクラップは品不足で1トン5万円の最高値を更新し続けている(大阪市内の処理場)
製紙原料となる古紙の取引価格も上昇が続いている。関西の新聞古紙の問屋買値は1キロ11.5円前後で年初より9%高い。回収事業者は「中国の業者が高値で買っていく動きが続いている」(大阪府大東市の大東紙業)
と指摘する。
石油情報センターがまとめた近畿のレギュラーガソリン価格(24日時点、福井県を含む2府5県)は1リットル152.5円で、4週連続で値上がりした。全国平均は横ばいだが、近畿では価格競争の少ない和歌山などの周辺
地域を中心に値上がりが続いている。
石油元売り各社は4月も卸値を引き上げる見込みで店頭価格にも転嫁される可能性がある。ただガソリンにかかる暫定税率が3月末で期限切れとなるため1リットル当たり25円の値下げ余地が出てくる。
3月末までに仕入れた在庫量により下げ幅に差は出るものの「大半の給油所が4月から値下げするのではないか」(大阪市内のガソリンスタンド)と競争を懸念する声もある。
昨春に比べ円高・ドル安が2割程度進んだ一方、鋼材の原料となるブラジル産鉄鉱石の対日価格は前年比65%高。1バレル100ドルを超える原油も1年前のほぼ1.5倍の水準。原燃料の上昇幅が大きいだけに、円高の影
響も現時点では限定的といえそうだ。