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ID :  5590
公開日 :  2008年 1月 4日
タイトル
[「『ほよ』付けばよきことありとふ古(いにしえ)の言の葉たぬし見上ぐる裸木
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新聞名
世界日報
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元URL.
http://www.worldtimes.co.jp/col/jk/jk080103.html
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元urltop:
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写真:
 
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「『ほよ』付けばよきことありとふ古(いにしえ)の言の葉たぬし見上ぐる裸木」。弊紙元日号の文芸面に掲載された、中根三枝子さんの新春詠。「ほよ」とはヤドリギのことである。
 葉を落として裸になったけやきの木に、ほよが青々と茂っている。その姿を見て中根さんは「古の言の葉たぬし」と万葉人に思いをはせた。万葉時代の人々はほよに永遠の命を認めて、信仰の対象にしたという。
 「あしひきの山の木末(こぬれ)のほよ取りて挿頭(かざ)しつらくは千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ」。天平勝宝二年(七五〇年)正月二日、越中の国司、大伴家持が郡司らを国庁に招いて饗(あえ)を給わったときの歌。
 木の梢(こずえ)に生えているほよを取って髪飾りにしているのは、千年の長寿を願ってのこと、という意味である。年頭に当たって、天皇をはじめ一同の長命を祈念した歌である。
 「鶺鴒(せきれい)のこゑを身近に恵方(えほう)道」は、同じ紙面の小島千架子さんの句。都内の住宅街などでも、冬に、鶺鴒を見掛けることがある。スーツを着たような上品な小鳥で、道に降りて来て尾を上下に振っ ている。
 恵方というのは、年神のやって来る方角で、初詣でもその方向の神社仏閣に参詣すると福が授かるという。その恵方を「ジュビ、ジュビ」という鶺鴒の鳴き声が示してくれたのだ。自然に神秘を感じる日本人の感性は、言 葉を磨くことで培われてきた。