ID :
5509
公開日 :
2007年 11月26日
タイトル
[住宅着工大幅減に歯止めを
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新聞名
公明新聞
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元URL.
http://www.komei.or.jp/news/2007/1126/10176.html
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元urltop:
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写真:
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分譲マンションを中心に新築住宅の着工戸数の落ち込みが止まらない。9月は新築住宅の着工戸数(6万3018戸)が過去最大の前年同月比44%減を記録、3カ月連続の前年割れともなった。特に分譲マン
ションの落ち込みが大きく、下げ幅は同74.8%減となる。これを首都圏に限ると同85.9%減とさらにはね上がる。このまま低迷が続くようであれば、景気への影響が懸念される。
住宅着工大幅減の要因は、6月に施行された改正建築基準法にあることは言うまでもない。社会問題化した2年前の姉歯事件をきっかけに、耐震偽装を防ぐ目的で改正されたわけだが、着工前に行う審査が必要以上に
厳格化されてしまった。建築主が自治体や民間検査機関に建築確認を申請した後に、書類や図面に不備があった場合、「軽微な不備」を除いて再申請が必要となった。これまでは修正して認められていたという。
また、一定の高さを超える建物や、構造が複雑な建物は、耐震強度の裏付けとなる「構造計算書」の審査が強化された。自治体などによる従来の審査に加えて、第三者機関による二重チェックが義務付けられた。これ
に伴って建築確認の審査期間も大幅に延長されることになった。
耐震偽装の再発を防ぐために審査の厳格化は必要であり、その意味で法改正は当然の措置だった。問題はむしろ法律の運用にある。中でも法律を運用する際の細かなルールを記した解説書を示した時期が、法施行
後にズレ込んだことが大きい。具体的な運用方法の周知不足が、法解釈をめぐり現場に予想以上の混乱をもたらしている。
その影響が着工戸数の減少という形で現れた。この事態を深刻に受け止めた公明党は10月、冬柴鉄三国土交通相(公明党)に対し、現場に過剰な負担が生じている現状を訴え、改正建築基準法の円滑な施行をめざし
て対策を講じるよう申し入れを行った。これを受けて国交省は、実務者向けに「軽微な不備」などについて具体例を示した手引書を出すとともに、今月に入って施行規則を改正し審査態勢の一部を緩和、周知徹底へ実
務者向けのパンフレットも作成した。落ち込みが激しい地域に対してはきめ細かなアドバイスも始めた。これらの取り組みで国交省は10月以降の着工回復に期待を寄せている。
一方で、住宅関連を含む建設会社の倒産が増勢を強めている。東京商工リサーチの調べによると、建設業の10月の倒産件数(負債額1000万円以上)は390件に上り今年最多を記録した。このままいけば4年ぶりに年
間4000件を突破する見通しだという。
追加対策も必要
その背景として政府の歳出歳入一体改革による公共工事の減少や談合の摘発強化などが挙げられる。加えて、改正建築基準法をめぐる民間工事の減少も拍車を掛けているのだろう。ただでさえ受注競争の激化で、
低価格入札による採算悪化が指摘されている。原油高騰も収益を圧迫、資材価格や燃料代に重くのしかかっている。経営基盤が弱い地方の建設会社への打撃は厳しさを増す。
建設工事は工事代金を受け取る前に、土地の取得費、資材の購入など業者の持ち出し分が先行する。住宅着工大幅減の影響はむしろこれから本格化する。資金繰りの支援をはじめ、もう一段の追加対策を急がなくて
はならない。