ID :
4779
公開日 :
2007年 9月21日
タイトル
[露の原木輸出規制 日中企業、相次ぎ対応策 双日・住商は露で加工工場増設
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200709200033a.nwc
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元urltop:
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写真:
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ロシアが今年7月から原木(丸太)に対し20%輸出税を導入し、2009年1月までに段階的に最大80%に引き上げる事実上の原木輸出規制を打ち出したのに対応し、扱い量の大きい大手商社などが、輸出税
のかからない製材に現地で加工する事業に相次ぎ乗り出している。双日が年内にもハバロフスクにベニヤ板の製材工場を稼働させるほか、住友商事もロシアの製材工場の出資比率を引き上げ、09年1月から加工製品
の生産規模を増強することにしている。(上原すみ子)
建材などに使う丸太の需要は世界的に拡大しているが、付加価値の低い原木輸出の規制は世界的な流れで、自然環境保護の面からも供給減は避けられない見通し。今後は加工済み製材の製品輸入が主流になるとい
う。
日本は06年に1031万立方メートルの原木を輸入しており、このうちロシア材は約483万立方メートルと約半分を占める。現在までに大きな影響は出ていないが、輸出税80%となる09年以降は原木での輸入はコスト
が見合わなくなる。ロシアの輸出税導入は、付加価値の低い原木輸出を制限し、木材加工業を育成して外貨獲得につなげるのが狙い。
これに対し、大手商社の双日は、現地の木材会社のフローラとすでに設立している合弁の製材工場から、日本の木材加工最大手、セイホクに技術指導を求めて製材の品質を高めることで、年内に新工場を稼働させる
。
住友商事も対応策として6月にロシアの大手林業チェルネイレスへの出資比率を拡大済みで、09年1月に製材工場を新たに稼働させ、日本向けの安定供給につなげる。
また、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると日本の中堅企業でも、ロシアの原木輸出規制を見込み、中国の黒龍江省の中国製材工場に技術者を派遣し、技術供与することで製材の安定供給につなげているケースがあ
るといい、不足を見込んだ対応が広がっている。
だが、日本以上に影響が深刻なのは中国。06年の中国の原木輸入量は全体で約3215万立方メートルで、このうちロシア材は約2182万立方メートルと依存度は67・9%。このため中国の木材輸入業者も対応策をとり
始めた。
ジェトロによると、ロシアの沿海州ウスリー地方と国境を接し、木材の一次加工業者が集積する黒龍江省綏芬河市は、ロシア側に1次加工拠点を新設し、原木から輸入を切り替える製材業者が相次いでいる。同市はロ
シアとの国境貿易などで年間700万立方メートルの木材を輸入。マレーシア、スウェーデンなど外資を含め400社以上の木材加工企業が集積し、一大産業になっている。2次加工技術を持つ外資には今後、優遇税制を
導入して誘致を進める計画だ。
中国国内では住宅などの建設需要に対し、木材供給が追いつかない。それだけにロシアの原木輸出規制の影響は深刻。水面下で輸出関税の引き下げを求める政府間交渉も行われているという。