ID 14568
登録日
2009年 12月24日
タイトル
熊楠ゆかりの大クスの枝寄贈 三重から和歌山へ
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=181540
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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和歌山県田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館に25日、三重県御浜町から熊楠が神社合祀(ごうし)の際に保護を訴えた「引作(ひきつくり)の大クス」の大枝の一部が贈られた。経年の空洞化で折れたもので、御
浜町が活用を検討していた。同館では本年度中に展示する。
この大クスは、御浜町の引作神社にあり、野中の一方杉と同様、熊楠が神社合祀による伐採から守った象徴的な巨木。三重県の天然記念物に指定され、新日本名木百選にも選ばれている。樹齢は千年以上と考えられ
るという。
大クスの保護を呼び掛けた牟婁新報の記事を読んだ熊楠が、当時、国の官僚だった柳田国男と東京朝日新聞の杉村楚人冠に保護について協力を依頼した。柳田にあてた手紙(1911年6月26日付)には、熊野は「半
熱帯」で古来神社には神体としてのクスがあり、これを切るのは神の威厳を損じると書いている。
博物学者白井光太郎にあてた書簡(12年2月9日付)には引作神社に「全国一という(中略)直径一丈三尺余の大樟あり」と説明している。
2007年9月、根元から4・4メートルの所で5本に分かれた枝のうち、東に張り出した大枝が折れた。幹の空洞化が主な原因と考えられる。御浜町が解体、保管し、活用を検討していたが、今年8月下旬に田辺市に一部
を贈呈し、交流のきっかけにできないかとの申し出があった。
贈られたのは大枝の一部を切った末口部1枚(長径約2メートル、短径約1メートル、厚さ約1メートル)、元口部2枚(長径約1メートル、短径約80センチ、厚さ約75センチ)。顕彰館では、これを材料に、来館者に触れても
らい、大枝の大きさを感じてもらえるようなものを作ろうと検討している。
中瀬喜陽館長は「熊楠は巨樹にもし言葉があれば、樹下にたたずんだ人のこと、行き過ぎた旅人、歴史のさまざまを語る重要な証人と見ていた。クスの語ることばに耳を傾けたい」とコメントしている。
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