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ID 14491
登録日   2009年 12月22日
タイトル
アマゾンの“空飛ぶ川”が干上がる?
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新聞名
ナショナルジオグラフィック
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元URL.
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=48605700&expand&source=gnews
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元urltop:
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写真:
  写真が掲載されていました
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 南アメリカのアマゾン地方には、広大な熱帯雨林全域に水分を運ぶ湿潤な気流、“空飛ぶ川(flying river)”が存在する。しかしデンマークのコペンハーゲンで先週開催されたCOP15で発表された報告によると、この川が干上がる恐れがあるという。地球温暖化を抑制する働きがあるアマゾンの熱帯雨林に悪影響が出 る可能性がある。
写真を拡大 印刷用ページ 友人に教える  アマゾン地方では現在、気候変動を主因とする気温上昇により、乾燥したサバンナが拡大しつつあり、ブラジルの農業やエネルギー産業にとって死活問題となる水循環に乱れが生じ始めている。  森林の減少もその一因だ。木材生産や農地拡大のためにブラジルで熱帯雨林の伐採が進み、“空飛ぶ川”を生みだす水蒸気の放出源となる木が少なくなっている。  最近までは、アマゾン熱帯雨林の喪失は、二酸化炭素(CO2)など、地球温暖化の根本原因となる温室効果ガスを閉じ込める役割と結び付けて論じられることが多かった。  しかし湿潤気流の実態と役割について調査を続ける「フライング・リバー・プロジェクト(Flying Rivers Project)」創設者の1人でエンジニアのジェラルド・モス(Gerard Moss)氏は次のように話す。「たいていの人はアマゾンを“世界の肺“、つまりCO2の回収装置として考えている。しかしアマゾン盆地は、巨大な送水ポンプでもある。雨は最も貴重な財産なのだ」。  同氏はCOP15でプロジェクトに関する記者発表を行っている。「“空飛ぶ川”は、アマゾン川とほぼ同じ水量を運ぶと考えられる。巨大な降水装置であり、保護する必要がある」。  アマゾン地方は淡水に恵まれた地域だ。世界で最も降水量が多く、空から降り注ぐ水は年間1万5400立方キロ(154兆トン)に達する。第2位のロシアでも年間降水量は7800立方キロ(78兆トン)である。  フライング・リバー・プロジェクトでは、アマゾンの降雨を専門とする農学者、エネーアス・サラティ(Eneas Salati)氏を中心に、アマゾン熱帯雨林の水分放出量を算出した。それによると、熱帯雨林の中心部にある大木1本で、1日に最大300リットルの水分を放出するという。  木は根から水を吸い上げ、水分の一部を再び大気中に放出(蒸散)する。「蒸発散」と呼ばれるプロセスだ。  前出のモス氏は2003年以降、小型飛行機でブラジル上空の“空飛ぶ川”の中を飛び、水蒸気のサンプルを収集している。集めた水蒸気は、ブラジルのサンパウロ州ピラシカバにある農業利用原子力エネルギーセンタ ー(CENA:Centro de Energia Nuclear na Agricultura)で、化学的なフットプリント(痕跡)が解析される。  このプロジェクトの目標は水源の特定と、広大なアマゾン盆地全域に水分を運ぶ気流の経路の解明である。例えば、1980年代にサラティ氏が行った研究により、アマゾンの降雨の半分以上が木から発散された水分が 基になっていると判明した。残りは地表水面から立ち昇る水蒸気が占める。  最近モス氏は、7日間かけて1本の“空飛ぶ川”の移動経路をたどった。終端は大都市サンパウロまで到達したという。その結果、湿潤気流が運ぶ水量は1秒間に3200立方メートル(3200トン)にも及ぶことがわかった。
主要河川とほぼ同じ量である。  ベルギーにあるルーヴェン・カトリック大学の天文学・地球物理学研究所に所属するヘレーネ・ムリ(Helene Muri)氏は、次のように話す。「ブラジルの熱帯雨林が保持する水分は、南アメリカの雨量を維持する上で非常に重要だ。特に冬の雨季に与える影響は大きい。木が切り倒されると、“空飛ぶ川”のメカニズムを通じて降水 量が減ることもあり得る。植生に変化があると、その地の“水収支”が影響を受け、渇水状況が生まれる場合がある。農業や産業も影響を受けるだろう」。  前出のモス氏は、「“空飛ぶ川”が干上がったら、ブラジル経済は衰退していくだろう」とも話す。例えばアマゾン地方が誇る豊かな土壌、ブラジルのマットグロッソ州も、作物の育成はアマゾンの降雨に全面的に依存して いる。灌漑(かんがい)がほとんど不要という点が、この地の農産業に大きな恩恵をもたらしているのだ。  モス氏は次のように続ける。「雨が降るのが当たり前だと思われており、どれほど恵まれたことなのか十分に理解されていない。ブラジルのエネルギーはその80%が水力発電に由来するものであり、小雨が続けば影響 は甚大だ」。  ただし熱帯雨林の保護意識は、ブラジルの一般市民の間にも広く浸透しており、モス氏はそこに期待をかける。「アマゾンで育つすべての樹木がブラジル南部の繁栄と結びついているという理解がだいぶ広がってきた」 。  フライング・リバー・プロジェクトは、ブラジル環境省水資源庁(ANA)と同国の石油会社ペトロブラスから支援を受けている。 Photograph courtesy Gerard Moss, Flying Rivers Project
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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