ID 14389
登録日
2009年 12月15日
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タイトル
タイトル
旅・まち・発見 伊勢神宮/1 新調の宇治橋
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新聞名
新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/travel/news/20091214ddf012100038000c.html
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元urltop:
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写真:
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聖界へヒノキで清め溶けてゆく
「正月も近いし、伊勢参りをしませんか」と、ものがたり観光行動学会の高田公理・佛教大教授(65)に誘われ、三重県伊勢市の伊勢神宮へやって来た。
内宮へと続く参詣道「おはらい町」は、日曜とあってごった返している。若者や家族連れの姿も目立つ。いい具合に風雪を経た木造の家々が並び、銀行さえも木造で、現金自動受払機(ATM)には「現金自動取扱所」とあ
る。見事に和風で統一されている。
ぶらぶら歩きながら、とりあえず11月に新調された宇治橋を目指す。全長101・8メートル、幅8・4メートルのヒノキで造られたそり橋だ。20年に1度、正殿などを新造する式年遷宮が4年後の2013年に迫っており、そ
れに先駆けて20年ぶりに架け替えられた。
「ヒノキのにおい、しとるわ」と高田さん。確かに、真新しいヒノキがかぐわしい。高欄の丸太をなでると、なめらかですべすべして、手触りがいい。くぎは使われておらず、木材を組み合わせているから、見目麗しい。両
端より約1・8メートル高い橋の中央から眺めると、なだらかな曲線を描いているのがよくわかる。上流側の、水中に立っている8本の柱は、流木よけのくいだ。
橋の両側には鳥居があり、人々は橋を渡って聖界へと歩を進め、参拝を終えて橋を渡り、俗界へ戻るわけだ。
週末に限らず、平日も参拝者が多いという。宇治橋の架け替えも一因だが、高田さんは境内を歩きながら、「昨年のリーマン・ショック以降、日本人の精神が変わってきたように感じます。日本的なものを見直すとかね。
それで神さん、仏さん参りが増えてるんやないかな」。確かに、こんなご時世では神仏にすがりたくもなる。実際、伊勢神宮の参拝者は昨年度、約750万人で、この5年で約190万人も増えているのだ。
ヒノキや杉の大木がそびえる。「教会やモスクは完全に人工的やけど、神さんがいはる場所は周りの森林と溶けおうて初めて成立するんやね」と高田さんが話す。お参りを済ませると、正殿の隣の遷宮予定地が目に入っ
た。整地中で、真ん中に巨木が立っている。「あれも生かして建てるんやろね」と高田さんが視線を向ける。
宇治橋を渡って俗界へ戻った途端、腹の虫が鳴く。ぼちぼち昼ご飯にしましょか。来た道を戻って町家風の「こじはん」というお店に入る。こじはんとは小事飯、農作業の合間に食べた簡単な食事のことで、NPO法人「五
十鈴塾」が一昨年から土日・祝日に開いている。地元の主婦が作る家庭料理が人気だ。
定食メニューは月替わりで、11月はサバの竜田揚げときのこご飯。体に優しい味付けだ。「街の若い人はこんな料理に出合ったことない。エスニック料理みたいに感じるんじゃないかな」と高田さん。ごちそうさま。++/di
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