ID 13706
登録日
2009年 10月25日
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タイトル
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【守れ!地球 企業が動いた】File1 伊藤忠商事
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新聞名
新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/culture-page/news/200910260002a.nwc
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元urltop:
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写真:
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傷ついた生物多様性の宝庫、再生支援
2008年に創業150周年を迎えた伊藤忠商事。これを記念する社会貢献活動の一つとして、ボルネオ島の熱帯雨林再生と生態系保全活動への支援を09年にスタートさせた。伊藤忠が支援する地域は、絶滅危惧(き
ぐ)種に指定されているオランウータンの生息地でもある。
ボルネオ島(カリマンタン島)はマレーシア、インドネシア、ブルネイの3カ国にまたがる熱帯林地域で、日本の約1.9倍もの面積がある、世界で3番目の大きさの島だ。
アマゾンなどと並び、生物多様性の宝庫といわれるボルネオ島も最近は開発が進み、自然再生力だけでは生態系保全ができないほど、傷ついた熱帯林も出てきたという。今回のプログラムは、これらの傷ついた熱帯
林再生の手助けをするものだ。
伊藤忠が支援する森林再生地のボルネオ島北東部のマレーシア・サバ州北ウルセガマでは、世界的な自然保護団体であるWWFが現地サバ州政府森林局と連携し、約2400ヘクタールの森林再生活動を行っている。
伊藤忠グループはそのうちの967ヘクタールの再生を支援する。グループ会社と協力し、このプログラムを支援するための資金として、09年度から5年間で2億5000万円をWWFジャパンに寄付する。
現地は、絶滅危惧種であるオランウータンの生息地でもあり、森林再生によりこのオランウータンを保護するだけでなく、ここに生息する多くの生物を守ることにもつながる。植林やその後の幼木管理、オランウータ
ン生息状況のモニタリングなどが主な活動内容だ。
熱帯林の再生には、長い時間がかかる。5年間だけでは十分ではない。伊藤忠CSR推進室の鈴木祥一・社会貢献担当課長は「このプロジェクトを一つのきっかけとして、社員やグループ会社とも協力し、動物たちが安
心して暮らせる森の再生を目指したい」と話している。
◇
■植林活動、オランウータン保護に直結
ボルネオ島にはオランウータンをはじめとした固有の動物や多種多様な植物が生息しており、生物多様性の宝庫の一つである。
ボルネオの象徴的な哺乳(ほにゅう)類であるオランウータンは、ボルネオ島とスマトラ島にのみ生息する絶滅危惧(きぐ)種で、WWFでは2005年、ボルネオ島の中で特に優先度の高いオランウータンの生息地を
インドネシア領の3地域とマレーシア・サバ州に設定した。オランウータンの生息頭数の減少は、森林面積の全体的な減少や森林の分断によるものであるといわれている。
木の上で生活するオランウータンにとって、高木の減少や分断を招いた森林伐採は、生活場所そのものを奪う行為だったのだ。オランウータンの生息地を確保することはボルネオ島の森林生態系保全につながる。
伊藤忠が取り組む支援対象面積の967ヘクタールは、一般企業の植林活動支援としては最大規模の面積で、植林後18カ月(計6回)にわたり、WWFの管理のもと、下草刈り(雑草刈り)や水やりなどの作業が行われる。
この地域に、「ITOCHU Group:Forest for Orang-utan」の名前を付けて、伊藤忠グループとして支援する。
植樹するのは、現地の在来樹種であるフタバガキ科のセラヤ、カポールなどの12種を主体とし、現場の状況に合わせて適切な樹種が選定されて植え付けられる。また、下草刈りなどの作業は、在来樹種を再生させる
ための幼木保護に欠かせない作業であり、この作業を怠ると植樹した木が駆逐されてしまうのだという。
今回の植林予定地の北ウルセガマには、在来樹種のフタバガキ科の高木はほとんど残っていない。その他の樹木や草木がはびこり始めており、現状のままでは、もともとの熱帯林として自然復元することが期待できな
いという。
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■エコロジー精神共有、社員体験ツアー
伊藤忠商事は、海外ブロック社員やプログラムに参加するグループ会社社員も対象としたボランティアの植林体験ツアーを開催し、社員が植樹・下草刈りなどを実際に体験する。
現地での植林再生活動に参加したり、絶滅危惧(きぐ)種のオランウータンなどの野生動物を観察することにより、環境保全の重要性を理解するのが狙いだ。
1回目の体験ツアーは11月19日から4泊5日の日程で行われる。参加者は男女8人ずつの計16人。現地での植林にかかる費用などを除き、ほとんどが自己負担という。出発の前には、多摩動物公園(東京都日野市)
でオランウータンをはじめ、動物たちの生態についての勉強会を開くなど、万全の態勢を整える。
ボルネオに着いた一行は、2日目に、まず、WWFの植林再生セミナーを受ける。3日目にはいよいよ植林活動が始まる。
宿泊地のホテルから、植林の現場まで車で1時間半。しかし、最初の30分を除いては、四輪駆動車で激しく揺られながらの厳しい悪路が続くのだという。
現場に着いた一行は、植林を行うための穴掘り作業に取り組む。しかし、山奥へ入った現場もまた、平坦(へいたん)な場所はなく、記念植樹のようには簡単にいかないという。
苗木は60センチから70センチの高さがあり、かなり大きめの穴が必要だ。16人で植える木は30本前後。
今年はこの1回でツアーは終わりだが、2010年以降は年2、3回実施する予定だ。
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■内外に広がる環境の輪、未来へ贈り物
伊藤忠商事の入社5年目の高木絵里さんは、高校生の時の植林体験がきっかけで、今回の体験ツアーに応募した。少女時代、オーストラリアの自然の中で育った高木さんは、自然保護への思いが人一倍強い。
「昔は、キャンプやアウトドアで自然に触れる機会が多かったのに、振り返ってみると、最近、自然の中で過ごしたことがないな」と感じていたところに、体験ツアーの情報が飛び込んできた。
「日本にいると、便利な生活に慣れきってしまい、オランウータンたちが絶滅の危機にあることも実感がない」といい、自分の目で自然の危機を確かめるつもりだ。
監査役室の大儀匡子さんも参加者の一人。厳しい自然環境の中へ出かけるのは初めてだ。「商社では過酷な地域に駐在している人がたくさんいる。今回のツアーでそのたいへんさを少しでも理解したい」と話す。
また、4月に定年を迎えたが、雇用延長した坂井博さんは「オランウータンが、先進国の消費が原因の一つとなり、絶滅危惧(きぐ)種に直面しているとニュースで知った」という。
第2の人生でNGO(非政府組織)に参加しようかと考えていたときに、伊藤忠のプログラムを知り、参加を決めた。
坂井さんは「生きている間に原生林が元に戻ることはないが、はるか未来に、後輩たちが原生林を見て、自分たちのことに思いをはせてもらえれば」と話した。
このほかにも、伊藤忠商事では、伊藤忠タイがマングローブの植樹活動を展開したり、台湾伊藤忠股●有限公司が図書を寄贈し、植樹活動に参加するなど、国内外で社会貢献活動を繰り広げている。
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