ID 13125
登録日 2009年 9月 7日
タイトル
枯れる修験道の山
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/zoomup/zo_090907_01.htm?from=yolsp
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つ、大峯山系の大峯奥駈道。修験道の行者が登る険しい山道の途中に、弥山(1895メートル)はある。かつて緑に覆われていた山頂付近は、針葉樹のシ
ラビソが立ち枯れ、絶滅の危機にひんしている。
行者たちのホラ貝が奥駈道に鳴り響く。白い木肌がむき出しになったシラビソの枯れ木が根こそぎ倒れ、地面を覆っている。その傍らには、美しさから「天女花」と呼ばれる国の天然記念物、オオヤマレンゲがシカよけ
の防護柵に囲まれ、ひっそりと咲いている。
シラビソの立ち枯れについて、17年前から弥山の山小屋の管理人をしている西岡満さん(57)は「シカの食害が大きな原因」と話す。山頂付近に群生するシラビソは、等高線に沿って規則的に枯れ、新しく生え替わり、
うまく「世代交代」が進んできたというが、「もう何年も前から、シカが新芽を食べてしまって世代交代が進まず、枯れていく一方。養分の少ない土壌なので台風にも弱い」と嘆く。
NPO法人「森林再生支援センター」(京都市)の高田研一・常務理事(58)は「大規模な森林伐採で下草など餌が増えたことや、温暖化による降雪量の減少もあって、シカが増えて食害が進んだ。1万年以上を生き抜い
てきたシラビソを何とかして守っていきたい」と語る。同センターは地元の奈良県天川村と協力し、一昨年から針葉樹の芽生え調査などを実施、枯れていく過程の解明に乗り出すなど、これ以上の森林の衰退を食い止め
ようと懸命だ。
神々しい自然に包まれた山岳信仰の地。貴重な世界遺産を次世代に残したい。緑豊かな山の再生を願う。
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