ID 12760
登録日 2009年 8月 2日
タイトル
インタビュー・環境戦略を語る:三井物産・田中誠一専務
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090803ddm008020024000c.html
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元urltop:
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写真:
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活動体験で意識向上
世界中で幅広い分野に事業を展開する三井物産は、第三者の目を取り入れながら「経済と環境の調和」を目指したビジネスに取り組んでいる。広大な社有林を生かした植樹活動など、環境への意識を高めるための社
員教育にも力を入れる。田中誠一専務に商社に求められる環境戦略を聞いた。【聞き手・平地修、写真・小林努】
--環境面でどのような配慮をしているのですか。
◆すべての経済活動は、どんな形であれ環境に影響を与えており、社員一人一人がそれを意識していかないとビジネスとして成り立たなくなっている。特に商社は、さまざまな事業領域や形態を持っている。そこで、
新たなビジネスや投資を始める場合は、環境にどのような負荷を与えるかを点数化して点検し、負荷が大きいときは事業の見直しなどの対応を取る。特に環境への影響が大きいビジネスについては、環境に知見のあ
る社外の有識者を加えた「環境諮問委員会」の意見を聞きながら、事業を展開している。
--社員教育にも力を入れていますね。
◆全国73カ所に計約4万4000ヘクタールの社有林「三井物産の森」を保有している。元々は造林事業で伐採した丸太を製材に利用していたが、現在は新入社員研修の一環として環境意識を高めるための植樹体験な
どに活用している。また、05年に環境基金を創設し、環境に貢献する活動や環境分野の研究に取り組むNPO(非営利組織)や大学に総額21億円を助成しているが、助成対象の活動にも社員を参加させて意識向上に役
立てている。
--社員の環境意識に変化はみられますか。
◆実際に活動に参加して、体で感じる部分が非常に大きい。意識が変わってきているという確信はある。これからは環境とビジネスの両立を図れる人間が重要だ。環境に与える影響を肌で感じることができる感受性
を持つことが、結果的にビジネスにつながると思う。環境そのものが事業の中でコストとして織り込まれる時代になり、もはや無視することはできない。
--ビジネスとしても環境は将来性があります。
◆金属などのリサイクル関連は大変なビジネスになっていると同時に、環境負荷を減らすことにもつながり、徹底してやっていこうと考えている。水資源の関連事業も将来性がある。太陽光発電や風力発電などの再生
エネルギーはまだコストが高く、事業性があるのかどうかは悩ましいところ。ただ、何かが生まれる期待があり、やってみないと分からない面もあるので幅広く網を張っている状況だ。商社はものごとを総合的にプロデュ
ースできる立場として強みがあると思う。
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