桜は同区伊手の熊野神社近くを流れる伊手川左岸に位置する。出居は表側の土間に近い間、妻(褄(つま))は端の意で、地域で伝説となっている長者の屋敷から見える桜という由来がある。花が咲くころに稲の種ま きをするのがよいとされていたことから、種まき桜とも呼ばれる。
樹勢回復作業は、いずれも樹木医で盛岡市みたけ4丁目の高村尚武さん(72)と奥州市江刺区愛宕の柏実さん(67)が中心となり実施。腐朽部の切断や剪定(せんてい)、切断部への殺菌剤塗布を行った。
枝の密度が低いという老衰木の特徴が見られ、台風によって折れた一部の幹などから腐朽菌も侵入。枝枯れを起こしていたが、軽い症状で、樹勢は盛り返すという。
作業により、樹高は約15メートルから約12メートルになったが、幹の大きさが際立ち、枝のバランスも良くなった。
県内の桜で最も幹周囲があるのは遠野市の「大日山の桜」(エドヒガン)の6・60メートル。第2位は一関市川崎町の「峰のアズマヒガン」(同)の6・20メートルで、これに「出居の妻」が続く。
エドヒガンは、日本三大桜で幹周囲11・30メートル(推定樹齢1800年)の山高神代桜(山梨県)に代表される長寿の桜で、出居の妻も地域のシンボルとしてあり続けることを住民は願う。
来月上旬には、一部の根の上にあったモルタル舗装道も撤去する。久保集落事務局の佐藤春重さん(57)は「県内で3番目に太い桜とは知らずびっくりした。樹勢を回復し、見事な花を咲かせ続けてほしい」と話して いる。
※=秋の火が了
【写真=樹勢回復作業を受ける県内で3番目に太いことが分かった桜「出居の妻」】
このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。