ID 11454
登録日 2009年 4月23日
タイトル
見て、聴いて、触って… 森林セラピー基地5月末開設 黒木町
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新聞名
西日本新聞
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元URL.
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/91083
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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黒木町が、森林の風景や香りによる癒やし効果がある「森林セラピー基地」の認定を受け、整備事業に取り組んでいる。保養施設「グリーンピア八女」(同町木屋)では、5月30日オープンを目標に、散策コー
スの設定など官民が連携し準備が進む。風薫る初夏。メタボ気味の記者も新緑を歩き、自然の癒やし効果を体感してみた。 (八女筑後支局・湊孝典)
■大自然の息吹を
「このコナラの木、大きいでしょ。触れるだけでも、自然の息吹を感じられますよ」
昨年4月、総務省の自治体支援策「頑張る地方応援プログラム」の一環で派遣(2年間)され、商工観光係長としてセラピー事業に携わる池浪葵さん(30)がほほ笑む。
携帯電話の電波すら届きにくい道をゆっくりと歩いた。柔らかな陽光が差し込み、耳をすませばウグイスやメジロの鳴き声が聞こえる。山懐に抱かれ、じわりと噴き出す汗が心地いい。
■医学面でも効果
敷地は約300ヘクタール。ヤフードーム(福岡市)が約39個入る広大な敷地を活用できるのか。同町は07年夏、大学生を対象に実証実験。都市部とグリーンピアの2カ所で、だ液内のストレスホルモンや心拍数の変化
を測定した。その結果、医学面からも森林の癒やし効果が確認できたという。
池浪さんは「葉が風に揺れる音を聴き、木々を触って、緑を眺め、深呼吸して、フィトンチッドという成分を含む木の香を楽しむ。五感で森を感じることが大切」と癒やされ方のこつを話す。
■もてなし力が鍵
基地認定を受け、同町は温泉ホテル、レストランもある敷地の整備に着手。(1)未舗装のクヌギ林を歩く「どんぐり拾いの小道」(全長約1.8キロ)(2)広葉樹林を抜ける「泉と小島への散歩道」(同1.8キロ)(3)池を
周回する「熊笹(くまざさ)と湖の小道」(同2.3キロ)‐の3コースを設定。約40カ所に方向案内板を設置した。
雄大な自然を生かすだけに、大規模投資はないものの、歩いて楽しい魅力づくりは欠かせない。
国内有数の約2000ヘクタールの照葉樹林が広がり、年間約100万人が訪れる宮崎県綾町。07年に認定された。モニターツアー実施などで知名度を上げ、リピーターを増やした。セラピー事業担当の同町農林振興課
の藤島裕輔さん(26)は「もてなす側の知識など、スキル面も今後問われる」と話す。受け入れ態勢準備へ、黒木町も案内ボランティア養成講座を開講。34人を案内人として認定した。
同町は来年2月、八女郡3町村とともに八女市に編入される。小川光吉町長は「事業が合併後の黒木の活力源になるよう育てたい」と意気込む。
開業後、いかに軌道に乗せるか。池浪さんは「大事なのは町民がセラピー基地を誇りに思い、積極的にかかわっていくかどうか。それが成否を分ける」と地域を挙げた協力の重要性を強調する。
■森林セラピー
森の生命力を活用し、心身の元気を取り戻せる地域として認められた制度で林野庁が2005年度から提唱した。現在は特定非営利活動法人(NPO法人)「森林セラピーソサエティ」(東京)が実証・認定をしている。
セラピー基地に認定されているのは全国38カ所。うち九州は宮崎県日之影町など7カ所。県内では、つづら棚田の散歩道を売り出しているうきは市が29日にオープン予定で、篠栗町も10年度以降の開業に向け、準
備を進めている。
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