ID 10853
登録日 2009年 3月12日
タイトル
強度間伐の研究開始 人工林の手入れで林業試験場
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=164038
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元urltop:
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写真:
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林業不振で、間伐時期を迎えているのに手入れが遅れている人工林が増えていることから、和歌山県林業試験場(和歌山県上富田町)は、一度に伐採する本数を増やした強度間伐の研究を始めた。通常の
間伐(伐採率20%)の2・5倍の50%を考えており、これまでの調査で、間伐本数を増やしても表層土壌の環境に大きな差が見られず、林地への影響は少ないとみている。試験場は「間伐する回数を減らし、時間とコスト
を節約できる。今後、急激に光を入れることでの弊害などを考えていきたい」としている。
県内の民有林は約34万ヘクタールで人工林はその60%の約21万ヘクタールある。このうち、間伐を必要とする30~55年生が75%を占めているが、適正な間伐が施されていない林地も少なくない。
試験場では、2005年から4年間、田辺市中辺路町にある29年生のヒノキ人工林に、皆伐、強度間伐(伐採率50%)、通常間伐(同20%)、無間伐の4区(各1000平方メートル)を設けて調査した。流出した土砂を受け
止める箱を区域の下流部に10個ずつ設置し、中に入った土砂を細土や小石、落葉落枝に分類してその量を伐採の前後で比較した。この結果、強度間伐の場所からの表土流出量が通常間伐より極端に増加することはな
かった。
植生については、各区内に5メートル四方を設定して、その中に生えてくる樹木を調べた。強度間伐区では高木種は生えなかったが、3年後に低木種のヒサカキやモミジイチゴなどが目立ってきた。ヒノキには目に見え
る影響として、樹皮にヤニが出てくるなどストレスによる状況が現れた。
中森由美子研究員は「森林所有者によっては、風量や光環境の影響を心配している。さらに長いスパンで検討する必要がある」と話している。
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