ID 10826
登録日 2009年 3月11日
タイトル
ロシアが丸太輸出に高関税 良質「北洋材」が日本から消える?
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090311/erp0903111630008-n1.htm
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
木材業界の記事です
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ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)プラントが稼働し、今月(3月)中旬にも日本向けに初出荷されることになった。経済分野で日本とロシアの協力関係を内外にアピ
ールしたが、これに対し、貿易量の減少で関係が希薄になりつつある分野がある。「北洋材」で知られ良質な建材として使われてきたロシア産木材だ。
■シーン1
江戸時代の東京湾で木場の筏(いかだ)師が、鳶(とび)口を操って木材を乗りこなす「角乗(かくのり)」のような曲芸は、おそらく行われていないだろう。気温は氷点下25度で、水温の方が高く“湯気”が立ちこめる極寒
の地だ。
ロシア中央部、シベリア地方クラスノヤルスクに近い街の製材工場で、毛皮の帽子をかぶり防寒着に身を包んだ作業員が原木の選別作業を行っている。
ロシア産の原木は北洋材と呼ばれる。木材は産地によって用途のすみ分けができており、熱帯産は合板の材料に、温帯産の広葉樹は紙やパルプの材料が適している。寒冷地の針葉樹は太くて真っすぐなため、住宅用
に適していると重宝されており、シベリア産の北洋材は良質な建材になるというわけだ。
ロイター通信によれば、この工場を操業する会社は、ロシアの主要な木材関係の複合企業の一つ。欧州や北アフリカ、そしてアジア向けに輸出されているという。
日本も重要な輸出先だったが、その関係の雲行きは怪しい。ロシアは以前から、外貨獲得のために日本への輸出を強化していたが、中国や中東にも目を向け始め、相対的に日本向けの輸出量は減っているのだ。
日本の国内問題も影を落とす。耐震偽装問題をめぐり建築基準法が改正されたため、住宅着工件数が大幅に減った。景気低迷も重なり需要は減少。ロシアに限らず木材輸入の総量が減っている。
しかし、ロシア産原木の貿易高が減った背景は、むしろロシアの国内事情によるところが大きいようだ。
■シーン2 加工奨励、極寒の工場フル稼働
ロシアの極東木材輸出協会(DEL)の統計によれば、2008年の日本向け丸太輸出量は115万立方メートルで、前の年に比べ45%も落ち込んだ。協会の08年の全輸出量は550万立方メートルで、落ち込みは20.3%
にとどまっており、日本向けの減少が際立っている。
日本の国内事情に加え、実はロシア側の姿勢の変化が事態を難しくしている。針葉樹丸太の輸出税の税率を段階的に引き上げているのだ。ロシア政府は国内の木材加工産業の育成を目指し、輸出原木への関税を07
年7月に6.5%から20%に、08年4月には25%へ引き上げた。
09年1月からは一挙に80%に引き上げる構想だったが、ひとまず猶予中。しかし、今年の年末からは、税率引き上げによる“事実上の禁輸措置”の領域に突入する見通しだ。
日本では、ロシアからの原木輸入に代わり、関税のかからない木材加工品で輸入したり、ロシア産カラマツの代替品として国産材のスギを見直す機運も徐々に高まっている。
クラスノヤルスク近くの工場付近は、真冬は氷点下45度まで気温が下がる日もある。原木輸出が激減し、代わりに加工品の需要が増して工場経営を下支えしているということなのか。
他の業種の工場では減産や操業停止が相次いでいる中、ロイター通信の報道によれば、極寒の木材工場での屋外作業は一年を通して行われ、真冬のこの時期も休業することはないという。
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