ID 8551
登録日 2008年 8月17日
タイトル
聖蹟桜ケ丘(多摩市) 『桜の街』復興着実に
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/info/tokyo-tu/CK2008081802000101.html
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元urltop:
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写真:
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大型商業施設などが集まる京王線の聖蹟(せいせき)桜ケ丘駅。多摩川と緑豊かな丘陵地に囲まれた一帯は、「聖蹟桜ケ丘」としゃれた呼び名で親しまれている。だが、駅の所在地は「多摩市関戸」で、正式な
地名ではない。
市教育振興課によると、駅の南東側にある同市連光寺地区には江戸時代、名主たちがヤマザクラを植え、昔から桜の名所だった。地区内の都立桜ケ丘公園では毎春、ソメイヨシノなど約三百本の桜が咲き誇る。
その一方で、駅近くの多摩川は、江戸時代から昭和初期にかけてアユ漁で知られた。同市関戸の郷土史研究家井上正吉さん(89)は「子どものころ、鵜(う)飼い漁などが盛んで、アユ専門の料亭もあった」と懐かしむ。
資料によると、明治天皇は、多摩川のアユ漁と連光寺地区のウサギ狩りを天覧で四回訪れた。その「聖蹟」(行幸地)を顕彰しようと、関係者が一九三〇年、桜ケ丘公園内に多摩聖蹟記念館を建設。これにちなんで三七
年、駅名も「関戸」から「聖蹟」と桜の名所「桜ケ丘」を合わせた名前に変更された。その後、駅周辺は聖蹟桜ケ丘と呼ばれるようになったという。
「旧多摩聖蹟記念館」は市指定文化財として、幕末から明治に活躍した人々の書画や多摩の植物の写真を展示。今は、市民の憩いの場だ。
この地域は「丘陵の美しい景観と清流が人々を引きつけた」と、市教育振興課総務・文化財担当主査の山崎和巳学芸員(50)。しかし、近年は「ニュータウンの開発で、多くの自然が失われつつある」と先の井上さんは残
念がる。
地域の歴史を見直す動きもあり、多摩商工会議所は三月、地域おこしの「多摩桜プロジェクト」をスタートさせた。市内の桜を移植したり、桜ケ丘公園の再生に取り組んだりする計画で、「桜の街の復興」への取り組みは熱
を帯びつつある。
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