ID 8322
登録日 2008年 7月22日
タイトル
千年の都・北京 樹と石と水の物語
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新聞名
中国情報局ニュース
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元URL.
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0721&f=column_0721_004.shtml
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書名:『千年の都・北京 樹と石と水の物語』
著者:阿南 ヴァージニア 史代(著)、小池晴子(翻訳)
出版社:ランダムハウス講談社
価格:2940円(税込)
本書は悠久の歴史を誇る北京に現存する樹木や建造物を通じて、北京の歴史とそこに生きる人々の姿を探訪するものだ。
本書によると、北京には樹齢300年以上の樹木が29種もあり、その本数なんと6000本以上もあるという。紹介される樹はどれも長寿だが、なかには樹齢500年を越える沙羅双樹やキササゲの樹、9メートルの太い幹
をもつ樹齢1500年の大イチョウ、天津甘栗の素材を実らせる老木などが紹介されている。
極めつけは樹齢2000年のゴッドマザーと呼ばれる槐(えんじゅ)だが、どの樹も乱世を生き延びた風格が随所に残り、成長過程で生じた無数の皺や舎利からたくましいオーラを放っている。
つづく「石と寺院」の章では、各地に点在する寺院やそれら建造物にみられる石仏や石獣などを紹介。いずれも中国の伝統様式や意匠を今日に伝え、朽ち果てる寸前の寺院に残る黒光りする石畳の美しさや力強い石
組が再開発の進む北京の町並みと共存している。
建造物と樹木の構成美は極めて完成度の高い盆景を眺めているようでもあり、最後はこれらをつなぐ「水」の章になる。なんと著者はこの章で、北京の水路をゴムボートで辿るのだ。北京の街中を、ゴムボートを担い
で横断。この行動力には驚いたが、そこには街並みをつなぐ個性豊かな石橋や美しい蓮池など、紋切り型のガイドブックに見られない素晴らしい景色が展開する。
これらトピックのあいだに収録されたコラムには、樹木と気功師の深い関係や独特の音色を奏でる特殊な鳩笛のこと、毛沢東の靴を作った職人の物語などが収められている。
著者の阿南・ヴァージニア・史代さんは、大学で中国史を教える歴史研究家で、本書で紹介される膨大な写真は、1983年以来、北京の街をカメラ片手に歩き続けて著者が収集したもの。なかには数年後には朽ち果て
るかもしれない樹木や建造物も多々含まれている。情緒たっぷりのベストショットは世界中の人々の貴重な財産になるはずだ。(
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