ID 8171
登録日 2008年 11月18日
タイトル
<微聞積聞>マングローブの力説く
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008111802000169.html
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元urltop:
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写真:
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ファン・グェン・ホンさん ハノイ教育大名誉教授 ベトナムでは、米軍による枯れ葉剤などで打撃を受けたマングローブ林の再生活動が進む。今年の「コスモス国際賞」を受賞したベトナム・ハノイ教育大の
ファン・グェン・ホン名誉教授(73)はマングローブ研究の第一人者で、再生活動への貢献が評価された。このほど来日した同教授にマングローブ林の現状や課題について聞いた。(榊原智康)
-マングローブ林の重要性は。
マングローブの土壌には多くの微生物がいる。化合物を分解する能力があり、水を浄化する役割を果たしている。林では微生物から動物までさまざまな生物が暮らしており、生物多様性の高い場所ということができる
。
また、打ち寄せる波を分散させることで海岸線の後退を防いでいる。このことは防災面でも役立つ。台風の波風を軽減する効果があり、堤防の外側にマングローブがある地域と、そうでない地域では被害に大きな違
いがある。
-どのように再生活動に取り組んできたのか。
破壊された原因は主に二つある。一つは米国が戦争で枯れ葉剤などを用いた化学戦を展開したこと。もう一つは人口増加などを背景とし、経済的な理由からエビやカニの養殖地、農業用地に転用されたことだ。
私は分類学、生態学の研究者として技術的な支援をしてきた。国による再生プロジェクトではそのトップとなり、どこにどんな種類の木を植えるかなどについて再生活動に取り組む地元の人たちに助言している。
-これからの課題は。
これまでの取り組みによって、沿岸部に住む人たちはマングローブ林の重要性を認識することができた。しかし、他の地域の人たちの理解はまだまだ不十分で、教育が大事になる。さらに国の政策面からの取り組みも
必要で、開発に対する厳しい規制が求められている。
-東南アジアからのコスモス国際賞の受賞は初めて。今後の抱負は。
ハノイ教育大のマングローブ生態研究所長としての職は退いたが、これからも研究を続けていく。副賞(四千万円)で奨学基金を設置し、マングローブを研究する若手研究者の支援にも取り組みたい。
ファン・グェン・ホン ハノイ教育大助教授から教授。この間にマングローブ生態系研究所長を11年間務めた。専門はマングローブの分類、生態学。
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