ID 7824
登録日 2008年 5月29日
タイトル
櫃石島に「100歳のオリーブ」 島の中学生らに愛さ
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20080529ddlk37040466000c.html
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元urltop:
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写真:
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たより発行、小豆島と交流
小豆島でオリーブの植栽が始まって今年で100年を迎えたが、坂出市の櫃石(ひついし)島にも「100歳のオリーブ」といわれる木があるという。それはすごい。島で唯一の中学校・櫃石中(國重博子校長)の全校生徒4
人にその木を案内してもらった。【矢島弓枝】
◇真偽、根拠は--市史に苗配布記述 20年前、新聞記事に
◆ひょろりと民家脇
櫃石中から歴史を教えてもらいながら、向かった。「ここが皆で泳ぐ旧港」「ここは『札場』。昔、塩飽勤番所(しわくきんばんしょ)からの通達を張ったりしていた所だよ」。案内してくれたのは、同中2年の岡田美咲さん(1
3)、櫃本成美さん(14)、藤大介志君(13)と1年の藤大輝之君(12)。島独特の細い坂道を上っていくと「あれだ」と4人が指を差した。
民家の石段脇にひょろりと伸びた1本の木。硬くて、細長い葉っぱ。オリーブの特徴だ。幹の途中で切られた跡があるが、元気そう。高さ約5メートル、周囲約76センチ。
「この木、本当に100歳かなあ」と尋ねると、4人は「う~ん」と首をかしげ、幹の切り口の年輪を数え始めた。「1、2、3……細かくて分からない」。
◆県試験場は記録なし
島の歴史に詳しい元櫃石小学校長の栄岩男さん(81)=坂出市福江町=によると、オリーブがある民家は、島内でも有数の旧家。2000年に亡くなった櫃石中初代校長の故・東山包雄さんが育てていたが、誰がいつ植
えたのか伝わっていないという。
坂出市史には、明治41(1908)年に「オリーブ栽培奨励区として、櫃石、与島、瀬居島(せいじま)にオリーブ苗を配布」という記述があり、栄さんは「この時に植えられたものだろう」と推測する。
一方、県農業試験場小豆分場では「100年前に櫃石島に苗を植えたという記録は残っていません。櫃石のオリーブを調査したこともないので……」という。
大きさから推計できないのか。同試験場によると、環境によって成長具合が違い、幹周りや木の高さで樹齢を計れない。さらにオリーブは品種が多く、葉や幹を見ただけでは品種すら特定できないという。
◆2代目も成長
「100歳」の根拠を知ろうと学校関係者らに尋ねたところ、どうやら約20年前に地元紙で、このオリーブが「明治41年に配布された『初代オリーブ』」であると紹介されたのがきっかけらしい。その後、06年に中学生が島
の歴史や文化を知る学習でオリーブについて調べ「櫃石だより」を発行したり、オリーブ発祥の地・小豆島の中学生と手紙をやりとりして交流するなど、「オリーブ」を軸にした活動をしている。4人も今春の卒業生から「今
年はオリーブが100歳になるよ」と教わっており、特別な思いがある。
4人に「櫃石オリーブ」への思いを聞くと、美咲さんは「皆に知ってもらいたい」、介志君は「櫃石のシンボルにしたい」、成美さんは「もっとPRしよう」、輝之君は「長生きしてほしい」と話した。学校に戻ると運動場脇にあ
る2本のオリーブの元へ案内してくれた。先ほど見た老オリーブから挿し木した「2代目」だという。
小豆島のようにたくさんの観光客は来ないが、郷土の人に親しまれている「100歳のオリーブ」だった。
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